引っ越しするか悩む。金がない。
Naoki.の部屋
「そろそろ引っ越しをしようと思うんだけど」と僕は言った。ガスコンロの上では火にかけたやかんの蓋がコトコトと揺れており、注ぎ口からはうっすらと湯気が漂っていた。僕はインスタントコーヒーの袋を開け、マグカップにスプーンでコーヒーの粉を2杯ほど入れ、その上からコポコポと沸騰したお湯を注ぎ込んだ。 「そうね」と彼女(猫)は言った。「まず、暖炉はマストでしょ。壁は煉瓦がいいわ。お風呂は猫脚で、床暖房も忘れないでね。ああでも、ヴィクトリア調も捨てがたいわね。それに——」 「うん、はいはい。朔ちゃんは何か条件ある?」と僕は彼女を軽くあしらいながら彼(猫)に訊いた。 「ええっと、ええっと……」 「ちょっと、お約束みたいに無視しないでもらえる? 私だって選ぶ権利くらいあるでしょ? 家賃払ってるんだから」と彼女は言った。家賃? 貰ってないんだが。 「ああ、うん。だって無理だぜ、それはさすがに」と僕は言った。そして家賃は貰ってない。 「あら、まあそうだったわ。ごめんなさいね。あなたの稼ぎを計算せずにわがままが過ぎたわ。ごめんなさいね。あなたの稼ぎを計算してなかったわ」 「……朔ちゃんはどういう所がいいかな?」 「ええっと、ええっと……」と彼(猫)は言い、両手を組んで考え込んだ。かわいいな、と僕は思った。けなされた後はすごく癒される。「ええっと……屋根! 屋根が欲しいです!」 「そっか、屋根が無いと何も防げないもんね」 「はい! 屋根が無いと何も防げないのです!」 「突っ込み不在なのは結構だけど、落とし所はあるんでしょうね?」と彼女は言った。
@Naoki. さん 床と壁もあった方がいいですよ。(*´∀`*)
@tetra163 さん それ言い出すと、空気と水も、とかになるからほら
引っ越しするか悩む。金がない。
「そろそろ引っ越しをしようと思うんだけど」と僕は言った。ガスコンロの上では火にかけたやかんの蓋がコトコトと揺れており、注ぎ口からはうっすらと湯気が漂っていた。僕はインスタントコーヒーの袋を開け、マグカップにスプーンでコーヒーの粉を2杯ほど入れ、その上からコポコポと沸騰したお湯を注ぎ込んだ。 「そうね」と彼女(猫)は言った。「まず、暖炉はマストでしょ。壁は煉瓦がいいわ。お風呂は猫脚で、床暖房も忘れないでね。ああでも、ヴィクトリア調も捨てがたいわね。それに——」 「うん、はいはい。朔ちゃんは何か条件ある?」と僕は彼女を軽くあしらいながら彼(猫)に訊いた。 「ええっと、ええっと……」 「ちょっと、お約束みたいに無視しないでもらえる? 私だって選ぶ権利くらいあるでしょ? 家賃払ってるんだから」と彼女は言った。家賃? 貰ってないんだが。 「ああ、うん。だって無理だぜ、それはさすがに」と僕は言った。そして家賃は貰ってない。 「あら、まあそうだったわ。ごめんなさいね。あなたの稼ぎを計算せずにわがままが過ぎたわ。ごめんなさいね。あなたの稼ぎを計算してなかったわ」 「……朔ちゃんはどういう所がいいかな?」 「ええっと、ええっと……」と彼(猫)は言い、両手を組んで考え込んだ。かわいいな、と僕は思った。けなされた後はすごく癒される。「ええっと……屋根! 屋根が欲しいです!」 「そっか、屋根が無いと何も防げないもんね」 「はい! 屋根が無いと何も防げないのです!」 「突っ込み不在なのは結構だけど、落とし所はあるんでしょうね?」と彼女は言った。
@Naoki. さん 床と壁もあった方がいいですよ。(*´∀`*)
@tetra163 さん それ言い出すと、空気と水も、とかになるからほら