書いててよくわからなくなること。ありますよね!
Naoki.の部屋
「きょうはどっちがわですか?」と彼(猫)が唐突に訊いてきた。どっち側? 突然言われて何が何だか分からなかったが、一応僕は左側かな、と答えた。「ふうん、ひだりがわですか。ひだりがわ、と。すごくですか?」 すごくですか、すごくですか……。「そうだね。すごくですね」と僕は言った。 「食欲はありますか?」 「それなりにあるのではないかと思いますね」 「ほんとうですか?」 「ええっと、やっぱりちょっとないかも」 彼は嬉しそうに微笑んだ。「となると、それはもうダメかもしれないですね!」 彼は、残念ですとても、と言いながら寝室の方に走って行った。何なんだろう。 「あの子とまともに会話しても何処にも行けないわよ」と大きなあくびをしながら彼女(猫)は言った。あくびをしているのを見る度に、その開いた口の中に何かを突っ込みたくなる。押すなと書かれてあるボタンを押してしまいたくなる衝動に似ている。多分相当怒るんだろうなあ、と僕は想像した。そして少しばかり面白くなった。つい、にやにやとしてしまう。いつかやってみたい。いつにしようかな? 「いつやる?」と僕は言った。 「何を?」と彼女は言った。 「あ……間違えた。何でもない」 「とうとうおかしくなったみたいね」 彼女はそう言って、冷たい視線を僕に浴びせた。同情というよりは、蔑んでいるようだった。冷蔵庫の中でカラカラに干からびた玉ねぎでさえ、もう少し温かい目で見てもらえると思う。多分。 僕はお腹が空いたので、みかんを二十六個食べた。何だか今日はおかしい。
書いててよくわからなくなること。ありますよね!
「きょうはどっちがわですか?」と彼(猫)が唐突に訊いてきた。どっち側? 突然言われて何が何だか分からなかったが、一応僕は左側かな、と答えた。「ふうん、ひだりがわですか。ひだりがわ、と。すごくですか?」 すごくですか、すごくですか……。「そうだね。すごくですね」と僕は言った。 「食欲はありますか?」 「それなりにあるのではないかと思いますね」 「ほんとうですか?」 「ええっと、やっぱりちょっとないかも」 彼は嬉しそうに微笑んだ。「となると、それはもうダメかもしれないですね!」 彼は、残念ですとても、と言いながら寝室の方に走って行った。何なんだろう。 「あの子とまともに会話しても何処にも行けないわよ」と大きなあくびをしながら彼女(猫)は言った。あくびをしているのを見る度に、その開いた口の中に何かを突っ込みたくなる。押すなと書かれてあるボタンを押してしまいたくなる衝動に似ている。多分相当怒るんだろうなあ、と僕は想像した。そして少しばかり面白くなった。つい、にやにやとしてしまう。いつかやってみたい。いつにしようかな? 「いつやる?」と僕は言った。 「何を?」と彼女は言った。 「あ……間違えた。何でもない」 「とうとうおかしくなったみたいね」 彼女はそう言って、冷たい視線を僕に浴びせた。同情というよりは、蔑んでいるようだった。冷蔵庫の中でカラカラに干からびた玉ねぎでさえ、もう少し温かい目で見てもらえると思う。多分。 僕はお腹が空いたので、みかんを二十六個食べた。何だか今日はおかしい。