「ミルクひとつに砂糖は無しで頼むよ」いつもそれしか飲まないから知っているよね、とでも言うかのような口調で彼は僕に言った。図々しい男だなあと思ったが、ひとまず我慢することにした。僕はとても我慢強い。我慢強さにかけてはちょっとした権威だ。「さっき休日と言ってたけど、いつも休日は何してるの?」「何って?コーヒーを飲んでるよ。おかしなことを言うね、これが紅茶だったらイギリス王朝も没落しなくちゃならないよ」「いや、今のことじゃなくてさ」と僕は言った。「今じゃなくて、いつもは、と聞いたつもりなんだけどな。四六時中コーヒーを飲んでいる訳じゃないだろう?」「君はとてもユニークだね」ユニーク?なぜそうなるんだ。「ははは、冗談だよ。飲んでるよ、四六時中。コーヒーに目がなくてね。インスタントコーヒーでもまあ飲めるよ」と棚の上のコーヒー豆と僕を見比べながら彼は言った。僕とコーヒー豆を見比べてるのかもしれなかった。あれ?同じか、何だかやはり混乱している。どちらにしても失礼な男には違いない。やれやれ。
「ミルクひとつに砂糖は無しで頼むよ」いつもそれしか飲まないから知っているよね、とでも言うかのような口調で彼は僕に言った。図々しい男だなあと思ったが、ひとまず我慢することにした。僕はとても我慢強い。我慢強さにかけてはちょっとした権威だ。「さっき休日と言ってたけど、いつも休日は何してるの?」「何って?コーヒーを飲んでるよ。おかしなことを言うね、これが紅茶だったらイギリス王朝も没落しなくちゃならないよ」「いや、今のことじゃなくてさ」と僕は言った。「今じゃなくて、いつもは、と聞いたつもりなんだけどな。四六時中コーヒーを飲んでいる訳じゃないだろう?」「君はとてもユニークだね」ユニーク?なぜそうなるんだ。「ははは、冗談だよ。飲んでるよ、四六時中。コーヒーに目がなくてね。インスタントコーヒーでもまあ飲めるよ」と棚の上のコーヒー豆と僕を見比べながら彼は言った。僕とコーヒー豆を見比べてるのかもしれなかった。あれ?同じか、何だかやはり混乱している。どちらにしても失礼な男には違いない。やれやれ。