忘れ物王あらわる。
Naoki.の部屋
『お月様の月への手紙』 拝啓 朝、ふと目が覚めると、真夏のような陽射しがベランダに差し込んでいるのが目に入りました。僕は何故だかそれを見たと同時に「洗濯をしなくては」という使命感が沸き起こり、猫たちがにゃあにゃあ「ごはんをよこせ」と騒ぐのを横目に、部屋中の洗濯物をかき集め(着ている物さえも脱ぎ去り)、眠い目をこすりながら洗濯機のスイッチを押しました。ごうんごうん、という音をしばらく猫たちと眺めていると、洗剤と柔軟剤を入れ忘れたことに思い当たりました。つまり水だけで洗おうとしたのです。洗濯機に洗剤を入れないなんて、海苔の巻いていないおにぎりのようなものです。食べられるけどただそれだけ。汚れは落ちるかもしれないけど、除菌まではできないよねえ、ということです。 君も知っていると思うけど、僕はいつも何か大事なことを忘れてしまうところがあります。時計を付け忘れたり、ひげをそり忘れたり、ヘアワックスをつけ忘れたり、携帯を置いて出たり、と。昨日にいたっては、家のカギを会社に置き忘れるという一番やってはいけないことをしてしまいました。どれくらいやってはいけないことかというと、電車の中で噛んでいたガムを、おもむろに隣りの人の髪の毛にからみつけてしまう(しかも女性に)、くらいやってはいけないことだと思います。しかも自宅から会社まではまあまあな距離があるので、取りに帰るのはなかなかの賭けでした。もしかしたら会社にはないかもしれません。途中の何処かで落としたということも考えられます。普段優柔不断な僕ですが、昨日の決断は早く、「無い」と思ったと同時に特に迷いもせず駅へ引き返し、ちょうど滑り込んできた電車に飛び乗りました。それというのも終電のことがあったからです。あまり長々と説明しても仕方がないので結論から言うと、カギは会社にありました。そして、終電は逃してしまいました。要するに終電を逃してしまったのです。電車で2時間近くかかる距離をタクシーで帰る気は毛頭なく、あーるこっ(歩こう)、と思ったのは良いのですが、中学生のような甘い考えだったことはいくら僕でもすぐに気が付きました。でもね、僕にはその選択肢しかなかったのです。「ふうん、やることもやらないで朝帰りとは良いご身分ね」と彼女(猫)に言われるのは目に見えていたからです。あるいは彼(猫)に、部屋中の壁という壁をがーりがりと削られる危険性もありました。 夜の国道をひたすら歩いていると、何だか自分が物語の主人公になった気がしました。もちろん、そんな気になったのは最初の30分くらいのものだけど。あとはひたすら文明の機器が横を通り過ぎていくのを憎み、カギを忘れた自分の愚かさを憎み、革靴を履いていることを憎み、暗いアスファルトを憎み、クリーニング屋の看板さえも憎みました。「おかえり」と言ってくれる人がいればまだ頑張れたかもしれないんだけど、家で待っている猫たちは、僕の事情などはお構いなしなので、僕が色々な看板を憎んでいる間、僕自身の帰りが遅いことを憎んでいたでしょう。まあ仕方ありません。代償を支払うべきなのは僕の方だからね。 兎にも角にも、今日も仕事なのだけれど、入館証を忘れてしまったのは極め付けだと思います。もしかしたら君がいないことで、心が不安定になっているのかもしれません。僕の中に確保してある君のためのスペースが広すぎて、君がいないことでバランスを失っているんだと思います。このぼっかりと空いたスペースに、早く君との色々な思い出を詰め込んでいくことができれば良いのだけど。 それでは次会える日を楽しみに、また手紙を書きます。 敬具
髪にガム付けられたら確かに凹むな〜。 そんな私は電車の中で知らない人にココアぶっかけたことあります。クリーニング代を出そうと鞄をがさごそしていると、その方は「道理でいい匂いがしたもんだ。」と。思わず惚れそうになりました。 何の話やねん。 すみません。毎度ながら話に引き込まれました。あ、インテリアも素敵ですよ。迷彩柄のカバーもツボです。
@pugholic さん 神対応、というやつですね。 電車の中で飲み物持ってる人がいるときは少し離れるようにします笑
@Naoki. さん ほんと神様に見えました。 トラップはどこに落ちているか分かりませんのでお気をつけくださいね!笑
@Naoki. さん、こんばんは〜‼️ 妄想小説、ちょっとおっちょこちょいでかわいい♫ ぷっ、と、なったw 家の鍵あるある〜w ないって気づいた瞬間、誰かにあー、バカだね〜って笑ってもらいたくなる〜 じゃないと、がんばれなーい(T ^ T)w あー、面白かった。寝よ。 あ!新しい部屋、壁ちょーかっこいいね! 家具とめっちゃあってて、流石です 窓の布もやっぱいい〜✨
忘れ物王あらわる。
『お月様の月への手紙』 拝啓 朝、ふと目が覚めると、真夏のような陽射しがベランダに差し込んでいるのが目に入りました。僕は何故だかそれを見たと同時に「洗濯をしなくては」という使命感が沸き起こり、猫たちがにゃあにゃあ「ごはんをよこせ」と騒ぐのを横目に、部屋中の洗濯物をかき集め(着ている物さえも脱ぎ去り)、眠い目をこすりながら洗濯機のスイッチを押しました。ごうんごうん、という音をしばらく猫たちと眺めていると、洗剤と柔軟剤を入れ忘れたことに思い当たりました。つまり水だけで洗おうとしたのです。洗濯機に洗剤を入れないなんて、海苔の巻いていないおにぎりのようなものです。食べられるけどただそれだけ。汚れは落ちるかもしれないけど、除菌まではできないよねえ、ということです。 君も知っていると思うけど、僕はいつも何か大事なことを忘れてしまうところがあります。時計を付け忘れたり、ひげをそり忘れたり、ヘアワックスをつけ忘れたり、携帯を置いて出たり、と。昨日にいたっては、家のカギを会社に置き忘れるという一番やってはいけないことをしてしまいました。どれくらいやってはいけないことかというと、電車の中で噛んでいたガムを、おもむろに隣りの人の髪の毛にからみつけてしまう(しかも女性に)、くらいやってはいけないことだと思います。しかも自宅から会社まではまあまあな距離があるので、取りに帰るのはなかなかの賭けでした。もしかしたら会社にはないかもしれません。途中の何処かで落としたということも考えられます。普段優柔不断な僕ですが、昨日の決断は早く、「無い」と思ったと同時に特に迷いもせず駅へ引き返し、ちょうど滑り込んできた電車に飛び乗りました。それというのも終電のことがあったからです。あまり長々と説明しても仕方がないので結論から言うと、カギは会社にありました。そして、終電は逃してしまいました。要するに終電を逃してしまったのです。電車で2時間近くかかる距離をタクシーで帰る気は毛頭なく、あーるこっ(歩こう)、と思ったのは良いのですが、中学生のような甘い考えだったことはいくら僕でもすぐに気が付きました。でもね、僕にはその選択肢しかなかったのです。「ふうん、やることもやらないで朝帰りとは良いご身分ね」と彼女(猫)に言われるのは目に見えていたからです。あるいは彼(猫)に、部屋中の壁という壁をがーりがりと削られる危険性もありました。 夜の国道をひたすら歩いていると、何だか自分が物語の主人公になった気がしました。もちろん、そんな気になったのは最初の30分くらいのものだけど。あとはひたすら文明の機器が横を通り過ぎていくのを憎み、カギを忘れた自分の愚かさを憎み、革靴を履いていることを憎み、暗いアスファルトを憎み、クリーニング屋の看板さえも憎みました。「おかえり」と言ってくれる人がいればまだ頑張れたかもしれないんだけど、家で待っている猫たちは、僕の事情などはお構いなしなので、僕が色々な看板を憎んでいる間、僕自身の帰りが遅いことを憎んでいたでしょう。まあ仕方ありません。代償を支払うべきなのは僕の方だからね。 兎にも角にも、今日も仕事なのだけれど、入館証を忘れてしまったのは極め付けだと思います。もしかしたら君がいないことで、心が不安定になっているのかもしれません。僕の中に確保してある君のためのスペースが広すぎて、君がいないことでバランスを失っているんだと思います。このぼっかりと空いたスペースに、早く君との色々な思い出を詰め込んでいくことができれば良いのだけど。 それでは次会える日を楽しみに、また手紙を書きます。 敬具
髪にガム付けられたら確かに凹むな〜。 そんな私は電車の中で知らない人にココアぶっかけたことあります。クリーニング代を出そうと鞄をがさごそしていると、その方は「道理でいい匂いがしたもんだ。」と。思わず惚れそうになりました。 何の話やねん。 すみません。毎度ながら話に引き込まれました。あ、インテリアも素敵ですよ。迷彩柄のカバーもツボです。
@pugholic さん 神対応、というやつですね。 電車の中で飲み物持ってる人がいるときは少し離れるようにします笑
@Naoki. さん ほんと神様に見えました。 トラップはどこに落ちているか分かりませんのでお気をつけくださいね!笑
@Naoki. さん、こんばんは〜‼️ 妄想小説、ちょっとおっちょこちょいでかわいい♫ ぷっ、と、なったw 家の鍵あるある〜w ないって気づいた瞬間、誰かにあー、バカだね〜って笑ってもらいたくなる〜 じゃないと、がんばれなーい(T ^ T)w あー、面白かった。寝よ。 あ!新しい部屋、壁ちょーかっこいいね! 家具とめっちゃあってて、流石です 窓の布もやっぱいい〜✨