先日、橋本洋美さんの個展で原画2枚と一緒に購入した立体作品2点。海を思わせる絵付が施された、親指程の小さなマトリョーシカ達です。中にはもう2体ずつ、更に小さなマトリョーシカが入れ子式に入っております。さて、今宵の翻訳は、先日教材にも選んだ、セルジュ・ゲンスブールの「La Noyée」を。 https://roomclip.jp/photo/aSjP?utm_campaign=app_sns_share&utm_medium=socialGITANESの相棒・モンロー(以前UPしたクリーム色のパパ猫)もお気に入りの一曲。ショパンの小犬のワルツは有名ですが、猫もワルツが好きな様で笑恐らくマニア以外…知らない曲かと思います。未発表作品なので。無数の傑作を世に送り出した彼ですが、皮肉にもマニアの間では飛び抜けて評価の高い、非常に美しい作品。勿論、自身も最も好きな曲です。此の詩の魅力を自分の日本語が惹き出せたかどうかは…正直、全く自信が御座いません。が、まだまだ若造の今の自分には、此れが精一杯!笑もしもイヴ・モンタンが断らず、歌いさえしていれば、シャンソン界の代表曲になっていたでしょうね。ゲンスブールも愛したジャック・プレヴェールの「Les Feuilles Mortes(枯葉)」の様に。ポール・ヴェルレーヌの「Chanson D’automne(秋の歌)」、ギヨーム・アポリネールの「Le Pont Mirabeau(ミラボー橋)」、そして、セルジュ・ゲンスブールの「La Noyée(溺れる女)」。ゲンスブールは自身を詩人と呼ぶ事を否定したそうですが、まあ、その多才さは詩人程度の範疇には留まらない、という意味では、確かにその通りだと思います。Tu t'en vas à la dériveSur la rivière du souvenirEt moi, courant sur la rive,Je te crie de revenirMais, lentement, tu t'éloignesEt dans ma course éperdue,Peu à peu, je te regagneUn peu de terrain perduDe temps en temps, tu t'enfoncesDans le liquide mouvantOu bien, frôlant quelques ronces,Tu hésites et tu m'attendsEn te cachant la figureDans ta robe retroussée,De peur que ne te défigurentEt la honte et les regretsTu n'es plus qu'une pauvre épave,Chienne crevée au fil de l'eauMais je reste ton esclaveEt plonge dans le ruisseauQuand le souvenir s'arrêteEt l'océan de l'oubli,Brisant nos coeurs et nos têtes,A jamais, nous réunit-La noyée/Serge Gainsbourghttps://youtu.be/OsYa6xGl7eg君は揺蕩うゆらゆらと…想い出せせらぐ川の面をさらさらと流れゆく過ぎ去りし日々の追憶達を途連れにだのに僕は置いてきぼりで独り取り遺された岸辺を為す術も無く駆け摺り乍ら咽び泣き、懇願するばかりどうかお願いだ、いかないでくれ、帰って来てくれ、とけれども君はそんな僕など素知らぬ風でふわり…揺れては其の度にゆるゆると掻き消える夢まぼろし僕を置いて…逝ってしまう形振り構わず、ひた駆けに駆け抜いて僕は漸々、君に追い縋り幽かに…触れた気がした二度とは還らぬ、喪いし何かに或る時は君は儚く渦巻く泡沫の藻屑と消え去り…かと思えばまたふわりと浮かび時に荊棘を掠めては躊躇うのか…苟且に留まり澱みに僕を待つ表情は読めない…ひらり舞い翻るドレスの向こうに君はその貌を淑やかに埋めているから恥じらいや断ち切れぬ此世の名残…そんなものに歪んだ見苦しい醜態を僕には晒すまいと慎ましくも畏れるあまりに在りし日の君の面影は今や見る影も無く最早君は波間を流離う憐れな塵芥人知れず惨めに事切れた名も無き野良犬に過ぎない運命の為すが儘…抗わず押し流されてゆくそれでも尚、君は僕の心を捕らえ離さないだから僕も流れの儘に嘗て君を抱いた此の軀を投じようそうしていつしか意識が途切れ忘却という名の大海が二人の骸をほろほろと溶き解す君への愛にときめいた心の臓も君への思慕に明け暮れた頭蓋も…そうすればまた二人は一つになれるんだ今度こそ、永遠に…