Naoki.の部屋
手紙風短編小説も、もう8話になりました。
『お月様の月への手紙』 拝啓 お元気ですか? カーテンレールに掛けてあるディスキディアの葉が風に揺れ、ハラハラと落ちる葉に猫たちが飛びつくのを眺めながら、今日はこの手紙を書いています。最初に落ちた葉だけに執着することなく、次の葉次の葉へと気持ちが移ろいやすい彼(猫)らを見ていると、何故だか僕は大きな中華料理屋さんに並べられた丸いテーブルを思い出しました。あっちの料理も食べたい、こっちの料理も気になる、と少しも落ち着いてひとつの物を食べられない状況ですね。ちなみに僕が落ちた葉をひとつ拾って彼(猫)らの近くに放ってみたんだけど、きれいさっぱりとスルーされてしまいました。もしかしたら「ふうん」くらいは言われたのかもしれないけどね。 それはそうと、昨日は久しぶりの出勤でした。そして久しぶりの通勤路は、あらゆる目的地を目指す人々でごった返していました。少し沈んだ顔をしている人。浮き浮き顔で歩いている人。何かに遅れそうなのか焦り顔で小走りしている人。携帯電話に目を落としてもくもくと歩いている人。モデルのように颯爽と歩く女性。ヘッドホンに合わせて足踏みしてる男性。ひとりひとりの顔を覗き込むわけにはいかないけど、後ろで髪をひとつにまとめ、君の好きなネイビーのスカートにピンクのヒールを履いた女性を見かけると、どうしても目で追い掛けてしまっている自分がいます。「こんなとこにいるはずもないのに」というフレーズ、あれって何気にすごいよね? 電車の中ではさすがに人を見るのにも疲れたので、今度は必死に広告などを眺めて過ごしました(目を閉じればよかったのか)。中でも扉の上で流れている紳士服か何かのコマーシャルで、「この夏は、サックスブルーのシャツが良い!」みたいなことを言ってるのには参りました。なぜかって? 僕はそのときまさにサックスブルーのシャツを着ながらそれを観ていたからです。正直言ってすぐにでもシャツを脱ぎ捨てたくなりました。だって、明らかにそれを隣りで観ていたサラリーマンが僕の方をチラッと横目で確認したから。。そのときの僕はデパートか何かの量販店に、間違ってその店で買った服を着てそのまま入ってしまったような気分でした。そういうときは「いらっしゃいませー」って笑顔で話しかけないでほしいよね。そう思わない? 空気を読むこと。それが大事。 電車を降り、地下鉄から地上へと上がると、歩道を行き交う人々の吐息や、道路を流れる車の排気ガスが街の隅々まで染み込んでおり、江東区の街をすっぽりと灰色に包んでいました。訳のわからない成分で構成されたそれらの空気を吸い込みながら歩いていると、その中に微かに懐かしい海の香りがしました。しかし、見渡せど見渡せど何処にも海なんてありません。何処か遠くの土地から流れてくるその香りは、少しばかり僕をほっとさせ、もちろん君のことを思い出したことは言うまでもありません。こんな雑踏の中で懐かしい匂いを感じてしまうと、君とあのとき一緒に見た故郷の海のことが頭の中で反芻され、自然と笑みがこぼれます。それと同時にとても切なくなりました。くだらないことでもめたときに感じるようなあの切なさです。 僕たちがこれまでに築いてきたものなんて、ほんの些細なものでしかないんだけど(あるいはゼロかもしれないんだけど)、君との思い出の数が多ければ良いのか、若しくは思い出せる数だけあれば良いのか、どっちなんだろう? とふと思うときがあります。でもやっぱり、少しばかりの揉め事が起こったり、相手のことをほんの少し嫌に思ったりするときがくることがあれば、思い出の数が多いほど、仲直りも早いんじゃないかなあ、と思います。 ただ、ただ一緒にいることができる幸せが、当たり前にならないよう思いやりをこれからも大切にします。 それではまた。 敬具
こんばんは。 Naoki.さんの手紙風小説、大好きです!! 手紙風っていうのがすごくツボなんです。 次回作も楽しみにしてます(﹡ˆ﹀ˆ﹡)
@choco さん ありがとうございます^ ^ そろそろ手紙の相手からの返事も欲しいところですね笑
@Naoki. さん♬ 相手からの返事バージョンも読みたいですね‼︎ 是非、女性目線で一筆書いて欲しいです♬
@mikasaku さん 多分しばらく先になりますね。 女性心が分からない30代男子です笑
不器用だけれど優しい男性イメージですね。 お店の商品と同じ服を着てきてしまった件よくわかります笑 入る前に気づけば遠目に見て入るのを我慢します。 借りてきた猫みたいに肩身狭くなっちゃいますね。
@Naoki. さん♬ 乙女心は複雑ですからねぇ〜笑 わたし自身も自分の情緒不安定さに驚かされます(つД`)ノ 女心が分かる30代男子になったら、是非、返事バージョンを^ ^
手紙風短編小説も、もう8話になりました。
『お月様の月への手紙』 拝啓 お元気ですか? カーテンレールに掛けてあるディスキディアの葉が風に揺れ、ハラハラと落ちる葉に猫たちが飛びつくのを眺めながら、今日はこの手紙を書いています。最初に落ちた葉だけに執着することなく、次の葉次の葉へと気持ちが移ろいやすい彼(猫)らを見ていると、何故だか僕は大きな中華料理屋さんに並べられた丸いテーブルを思い出しました。あっちの料理も食べたい、こっちの料理も気になる、と少しも落ち着いてひとつの物を食べられない状況ですね。ちなみに僕が落ちた葉をひとつ拾って彼(猫)らの近くに放ってみたんだけど、きれいさっぱりとスルーされてしまいました。もしかしたら「ふうん」くらいは言われたのかもしれないけどね。 それはそうと、昨日は久しぶりの出勤でした。そして久しぶりの通勤路は、あらゆる目的地を目指す人々でごった返していました。少し沈んだ顔をしている人。浮き浮き顔で歩いている人。何かに遅れそうなのか焦り顔で小走りしている人。携帯電話に目を落としてもくもくと歩いている人。モデルのように颯爽と歩く女性。ヘッドホンに合わせて足踏みしてる男性。ひとりひとりの顔を覗き込むわけにはいかないけど、後ろで髪をひとつにまとめ、君の好きなネイビーのスカートにピンクのヒールを履いた女性を見かけると、どうしても目で追い掛けてしまっている自分がいます。「こんなとこにいるはずもないのに」というフレーズ、あれって何気にすごいよね? 電車の中ではさすがに人を見るのにも疲れたので、今度は必死に広告などを眺めて過ごしました(目を閉じればよかったのか)。中でも扉の上で流れている紳士服か何かのコマーシャルで、「この夏は、サックスブルーのシャツが良い!」みたいなことを言ってるのには参りました。なぜかって? 僕はそのときまさにサックスブルーのシャツを着ながらそれを観ていたからです。正直言ってすぐにでもシャツを脱ぎ捨てたくなりました。だって、明らかにそれを隣りで観ていたサラリーマンが僕の方をチラッと横目で確認したから。。そのときの僕はデパートか何かの量販店に、間違ってその店で買った服を着てそのまま入ってしまったような気分でした。そういうときは「いらっしゃいませー」って笑顔で話しかけないでほしいよね。そう思わない? 空気を読むこと。それが大事。 電車を降り、地下鉄から地上へと上がると、歩道を行き交う人々の吐息や、道路を流れる車の排気ガスが街の隅々まで染み込んでおり、江東区の街をすっぽりと灰色に包んでいました。訳のわからない成分で構成されたそれらの空気を吸い込みながら歩いていると、その中に微かに懐かしい海の香りがしました。しかし、見渡せど見渡せど何処にも海なんてありません。何処か遠くの土地から流れてくるその香りは、少しばかり僕をほっとさせ、もちろん君のことを思い出したことは言うまでもありません。こんな雑踏の中で懐かしい匂いを感じてしまうと、君とあのとき一緒に見た故郷の海のことが頭の中で反芻され、自然と笑みがこぼれます。それと同時にとても切なくなりました。くだらないことでもめたときに感じるようなあの切なさです。 僕たちがこれまでに築いてきたものなんて、ほんの些細なものでしかないんだけど(あるいはゼロかもしれないんだけど)、君との思い出の数が多ければ良いのか、若しくは思い出せる数だけあれば良いのか、どっちなんだろう? とふと思うときがあります。でもやっぱり、少しばかりの揉め事が起こったり、相手のことをほんの少し嫌に思ったりするときがくることがあれば、思い出の数が多いほど、仲直りも早いんじゃないかなあ、と思います。 ただ、ただ一緒にいることができる幸せが、当たり前にならないよう思いやりをこれからも大切にします。 それではまた。 敬具
こんばんは。 Naoki.さんの手紙風小説、大好きです!! 手紙風っていうのがすごくツボなんです。 次回作も楽しみにしてます(﹡ˆ﹀ˆ﹡)
@choco さん ありがとうございます^ ^ そろそろ手紙の相手からの返事も欲しいところですね笑
@Naoki. さん♬ 相手からの返事バージョンも読みたいですね‼︎ 是非、女性目線で一筆書いて欲しいです♬
@mikasaku さん 多分しばらく先になりますね。 女性心が分からない30代男子です笑
不器用だけれど優しい男性イメージですね。 お店の商品と同じ服を着てきてしまった件よくわかります笑 入る前に気づけば遠目に見て入るのを我慢します。 借りてきた猫みたいに肩身狭くなっちゃいますね。
@Naoki. さん♬ 乙女心は複雑ですからねぇ〜笑 わたし自身も自分の情緒不安定さに驚かされます(つД`)ノ 女心が分かる30代男子になったら、是非、返事バージョンを^ ^