最近インスタで知り合った、画家さんの家に遊びに行ってきました。
20『お月様の月への手紙』 拝啓 雨と晴れの境界を、君は見たことがありますか? だんだんと雨足が弱まり、徐々に晴れ間が見えてくる、というようなことはよく遭遇することがあるかと思いますが(多分)、ここから先は雨、ここから後は晴れ、と本当に線でも引いたかのような境界線。僕は人生で二度ばかり見たことがあります。それはとても不思議な光景でした。立っている場所は晴れ、しかし少し先に見えているのは雨。じょうろで水を撒いているかのように、その雨は、地面を少しずつ濡らしながら、徐々に僕の立っている場所へ近づいてくるのです。「夕立は馬の背を分ける」ということわざがありますが、まさに言葉通りの光景でした。雨の多いこの季節、もしまた遭遇する機会があるのなら、今度は隣りに君がいるときがいいなあ、と期待しています。雨の中歩くなんて、実際のところあまり好きではないんだけどね。でも、一緒にその景色を見ることができるのなら、雨の日の散歩も少し楽しみに思えてきました。 「わたし、雨の中歩くのって意外と好きなの」と君は言ってましたね。もう少し雨風がおさまったら、一緒にお散歩でもしませんか? そのときはもちろん、少し大きめの傘を差して。 二人寄り添う傘の下 雨打つ音に耳澄ます お気に入りの白い傘 お気に入りのレインシューズ アスファルトには水溜まり わざと踏みつけ君は笑う いつもと同じ駅までの道 いつもと違う駅までの色 何だか一曲書けそうですね。 そして実は僕は、家の中で聞く雨の音が好きです。窓際に座り、静かに降り注ぐ様を見るのも好きだし、容赦なく家屋に打ち付けるような激しい雨を見るのも好き。海洋上で発達した熱帯低気圧を家の中からただじいっと見ていると、不謹慎ではあるんだけど、なぜだか昔からわくわくしてくるのです。 そして今、窓の外ではやはり雨。外の世界が荒れるほど、この部屋の中は穏やかになっていくようです。 君はいま同じ雨を見てるかな? それではまた、手紙を書きます。 敬具
最近インスタで知り合った、画家さんの家に遊びに行ってきました。
20『お月様の月への手紙』 拝啓 雨と晴れの境界を、君は見たことがありますか? だんだんと雨足が弱まり、徐々に晴れ間が見えてくる、というようなことはよく遭遇することがあるかと思いますが(多分)、ここから先は雨、ここから後は晴れ、と本当に線でも引いたかのような境界線。僕は人生で二度ばかり見たことがあります。それはとても不思議な光景でした。立っている場所は晴れ、しかし少し先に見えているのは雨。じょうろで水を撒いているかのように、その雨は、地面を少しずつ濡らしながら、徐々に僕の立っている場所へ近づいてくるのです。「夕立は馬の背を分ける」ということわざがありますが、まさに言葉通りの光景でした。雨の多いこの季節、もしまた遭遇する機会があるのなら、今度は隣りに君がいるときがいいなあ、と期待しています。雨の中歩くなんて、実際のところあまり好きではないんだけどね。でも、一緒にその景色を見ることができるのなら、雨の日の散歩も少し楽しみに思えてきました。 「わたし、雨の中歩くのって意外と好きなの」と君は言ってましたね。もう少し雨風がおさまったら、一緒にお散歩でもしませんか? そのときはもちろん、少し大きめの傘を差して。 二人寄り添う傘の下 雨打つ音に耳澄ます お気に入りの白い傘 お気に入りのレインシューズ アスファルトには水溜まり わざと踏みつけ君は笑う いつもと同じ駅までの道 いつもと違う駅までの色 何だか一曲書けそうですね。 そして実は僕は、家の中で聞く雨の音が好きです。窓際に座り、静かに降り注ぐ様を見るのも好きだし、容赦なく家屋に打ち付けるような激しい雨を見るのも好き。海洋上で発達した熱帯低気圧を家の中からただじいっと見ていると、不謹慎ではあるんだけど、なぜだか昔からわくわくしてくるのです。 そして今、窓の外ではやはり雨。外の世界が荒れるほど、この部屋の中は穏やかになっていくようです。 君はいま同じ雨を見てるかな? それではまた、手紙を書きます。 敬具