茶葉をフィルターにして 日本茶をドリップする 日本茶800年の歴史に、新たなときを刻む茶器 急須は、およそ300年前に誕生したと言われています。浮世絵にも登場し、その姿かたちはほぼ変化せずに現代に至ります。刻音(ときね)は現代のテクノロジーを用いて、急須を超える茶器を目指して開発しました。 急須を超える茶器とは「お茶本来のおいしさ=香り・旨み・渋みを、誰でも簡単に引き出せる茶器」「現代のライフスタイルに合う茶器」「お茶を淹れることが楽しみになる茶器」。この3つの要素を兼ね備えた茶器であると考えました。そして、たどり着いたひとつの答えが「沈殿抽出式」という方法です。(沈殿抽出式は特許及び商標出願中です。) クリアかつ深い味わいを引き出し、お茶を淹れるプロセスそのものが愛おしくなる茶器。刻音とともに、すてきなお茶の時間をお楽しみください。 沈殿抽出式 沈殿抽出式(ちんでんちゅうしゅつしき)は、2年の歳月と500回の試作を経て完成しました。ペーパーフィルターやステンレスの茶こしなどを使わずに、日本茶をドリップする独自の方法で、お茶の繊細な個性(香り、旨み、渋み)をしっかりと引き出す茶器です。 沈殿抽出式とは、茶葉それ自体を「ろ過フィルター」としてお茶を抽出すること。お湯が注がれた茶葉は、刻音本体の広い空間のなかでゆっくりと開きます。やがて沈殿し、何層にも重なり合い「ろ過フィルター」のようになります。抽出されたお茶は、重力にしたがってサーバーに落ちていきます。その際、雑味や微細な茶葉がフィルターでろ過されることで、クリアでありながら、味わい深いお茶を抽出することが可能になりました。 金属不使用 刻音には、金属のパーツがありません。本体やつまみは「半磁器」、サーバーは「耐熱ガラス」でできています。お茶の自然な風味を保つために、金属を一切使わないことにこだわりました。お茶本来の、繊細かつ豊かな味をお楽しみください。 半磁器 ―陶器の温かみと、磁器の丈夫さを兼ね備えた素材― 刻音の本体・フィルターで使用しているのは、「半磁器」。土由来の温かみのある手触りに、適度な強度が加わった、陶器と磁器の良さを併せもった素材です。陶器に比べ吸水性が少ないことから、高温で洗う食洗器の使用が可能です。 ガラスサーバー ―美しい緑茶の色を楽しめる― 抽出されたお茶は、ガラスのサーバーに少しずつ注がれます。お茶のあざやかで美しい「すい色」を楽しめるのは、ガラスならでは。このすい色をゆっくり眺めるのも、お茶による癒しの時間です。 お茶を淹れるプロセスを楽しむ 砂時計のようなデザイン 刻音でお茶が抽出される様子は、まさに砂時計が落ちていくよう。サーバーに注がれるお茶は、それはそれは美しいものです。ゆったりとした時の流れを感じてみてください。 ここちよい抽出音 刻音の抽出音に、ぜひ耳を傾けてみてください。お湯を入れると「ぽちゃ ぽちゃ」と、しずくが落ちる音。茶葉が広がるのを待つ間の、ときを刻むような音。最後につまみをゆっくり引くと、川のせせらぎのような音が聞こえてきます。 美しいすい色をながめ、ここちよい抽出音を聞く。この日本茶を淹れるプロセスこそが、癒やしの時間を演出します。さらに、茶葉が捨てやすい設計であること、持ち手や突起部分がなく、収納がしやすいデザインも刻音の特徴です。 かつてどの家庭でも飲まれていた日本茶の「茶葉飲用」を再興するため、そして、新たな日本茶ファンを増やすため、現代のライフスタイルにあった茶器を開発しました。 プロダクトデザイナーである石黒猛氏、伊東祥次氏。そして、製品化の要、中善・中尾善之社長。各分野のプロフェッショナルなみなさんと、コンセプトづくりからアイデア出し、ディスカッション、デザイン、3Dプリンターでの出力・検証・修正……何度も何度も繰り返し、2年の歳月と500回を超える試作を経て、「沈殿抽出式」という今までにない独自の方法をもった茶器・刻音が完成しました。