防災の専門家に聞きました!「おうちでできる防災」ってどんなこと?

防災の専門家に聞きました!「おうちでできる防災」ってどんなこと?

9月1日は「防災の日」。災害に備えておきたいという気持ちはあるものの、何から始めたらいいのか分からない……そんな人も多いのではないでしょうか。「災害に強いおうちづくり」を実践されている防災の専門家、「危機管理教育研究所」代表の国崎信江さんにお話を伺いました!

「『もしも』を考える防災特集」特別インタビュー企画

「第2回家づくりアカデミー『もしも』を考える防災特集」の特別企画として今回、お話を伺った国崎信江さんは、ご自宅をリフォームする際に「RoomClipユーザーさんの投稿を見て自分好みのインテリアをチェックし、参考にしていました」とのこと!ユーザーさんと同じように、「インテリアを楽しみたい」「大切な家族を災害から守りたい」という思いのもと、“災害に強いおうち”を日々アップデートされています。

国崎信江さんプロフィール

横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、内閣府「防災スペシャリスト養成企画検討会」委員、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。詳しくはこちら>

執筆書籍震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック
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おうちをもっと安心できる場所に。まずは何から始めたらいいですか?

—— 地震や台風など、自然災害が多く発生する日本。「災害に強く、避難しなくても大丈夫なおうちに住みたい」という思いを実現するためには、まずどうすればいいのでしょうか?

国崎さん:一番重視したいのは、災害リスクの低い地盤を選ぶことです。そのリスクを判断するためには、インターネットの地盤診断サービスを利用する、ハザードマップを確認する、などの方法があります。ハザードマップは各自治体のホームページで確認できますし、市役所などでも配布していますよ。また、自然災害伝承碑※などを確認し、その土地の歴史を知っておくのも大切です。

※国土地理院が全国の自治体と連携して整備を進めている自然災害伝承碑に関する情報は、国土地理院のウェブ地図「地理院地図」にも掲載されています。

—— 土地選びの次に気になるのが、おうちの中の災害対策です。地震などの災害に備えて、最初に何をしておくといいですか?

国崎さん:災害用のアイテムをあれこれと揃えるよりも、「おうちの中のモノを減らす」ことが重要です。「モノが少ない」ということは「凶器が少ない」ということ。倒れて通路を塞ぐもの、すべって飛んでくるもの、割れて散らばるもの……モノを減らすことで、そういう危険を減らすことができます。

すっきりとした国崎さんのご自宅

—— モノを減らすことが、おうちの中での被害を減らすことにつながるんですね。

国崎さん:被害を最小限にするためには、家具や家電の「配置の見直し」も必要です。例えば、家の中で最も危険なエリアである「キッチン」。一般的なマンションのカウンターキッチンだと、コンロが行き止まりになっていることが多いですよね。壁側に設置した冷蔵庫や食器棚が倒れてきた場合、逃げ場がなくなってしまうことも。キッチンの入り口付近に冷蔵庫は置かないなど、避難経路を確保できるようにしておきたいですね。

【ユーザーさんのおうち防災①】冷蔵庫の転倒防止

冷蔵庫を転倒防止ベルトで固定しているmekichinさん。冷蔵庫背面の取っ手を壁に取り付けた固定金具をベルトでつなぎ、転倒を防止します。

冷蔵庫の転倒防止対策として、純正品の転倒防止ベルトなるもので壁に固定しました。
日中は冷蔵庫の前のダイニングに居ることが多いので、これでちょっとは安心出来るかな。
mekichin
【ユーザーさんのおうち防災②】家族みんなで寝る部屋

お子さんが小さい間は、家族みんなで“川の字”になって寝るという方法も。yumikofさんは「基本、何も置かない」部屋を寝室にしています。

我が家の寝室は現在小屋裏で川の字
家を建てた時に地震の事を考えて自然と一番高い所で寝ることに。
そろそろ子供部屋で寝かせたいと思ってますが…

⚫基本、何も置かない。
⚫懐中電灯と手動式懐中電灯(ラジオ付き)  は常に枕元に転がっている
⚫冬は足元に履くスリッパを籠に入れて置いている
yumikof

非常用の食料や防災グッズ。最低限、どんなものを備えておくべきでしょうか?

—— RoomClipユーザーさんの中では、使いながら備える「ローリングストック」を始めている人も多いようです。在宅避難の場合、「何を備えておけばいいのか」というところで悩んでしまうのですが……

国崎さん:私は昔から「ハッピーストック」という考え方を提唱しているんです。ハッピーストックとは、「非常用」という点にこだわらず、家族が好きなものをそれぞれストックしておくこと。好きな食べ物・飲み物を選ぶことで、家族も飽きずに続けられるし、いつのまにか賞味期限が切れていて無駄にしてしまう、ということもなくなります。

国崎さんのご自宅のストック

災害に備えて準備しておきたいもの①

ゼリー飲料

飲料水や缶詰、レトルト食品は賞味期限が長くて便利ですが、重たくてかさばるのがやや難点。オススメは「ゼリー飲料」です。
食べ物と飲み物の中間のゼリー飲料は、腹持ちが良く、栄養価が高いのも魅力です。水分補給の役割を果たしながら、お茶やコーヒーのような利尿作用がないので、トイレに行きづらい断水時にもオススメですよ。

災害に備えて準備しておきたいもの②

蓄電池

災害時に電気がつかないのはとても不便だし、不安になりますよね。「蓄電池」は、日常使いしながら災害時に備えることができます。
わが家では大小2つの蓄電池を常に使っていて、電気代が安い深夜にチャージしておくんです。日中、携帯電話の充電などは蓄電池を使うことで、電気代の削減にもなります。「非常時に使うもの」としまいこまずに、普段から使って慣れておくというのもポイントです。

災害に備えて準備しておきたいもの③

簡易トイレ

災害用の「簡易トイレ」も、備えておきたいもののひとつ。「非常用バッグに入っているけど、使ったことがない」という人は、一度経験しておくと安心です。
組み立てるタイプのポータブルトイレや袋タイプの携帯トイレなど、さまざまなアイテムがありますが、在宅避難の場合は「おうちのトイレにセットできるタイプ」がオススメ。袋と凝固剤がセットになっていて、使い勝手や衛生面にも配慮した製品が開発されています。

災害に備えて準備しておきたいもの④

いつも持っているバッグ

非常時に役立つものがセットで揃う「非常用バッグ」ですが、もちろん「これさえ持っていれば大丈夫!」というわけではありません。
避難所に避難しなければいけないときは、状況もタイミングも「命からがら」ということがほとんど。「いつも持っているバッグ」と「非常用バッグ」のどちらかしか持っていけないのなら、お財布やスマホが入っている「いつも持っているバッグ」にモバイルバッテリーや絆創膏などを入れておく方が現実的です。

【ユーザーさんのおうち防災③】防災用ストックは普段から活用

カップボードの下段とすき間ワゴンで、食材のローリングストックを実践中のusan.22さん。「普段の暮らしにも役立つ」というのがポイントですね!

食品のローリングストック
我が家はパントリーは無いけどカップボードの下段とすき間ワゴンで充分です
何かあったときにすぐ食べられる缶詰めやパウチ食品の他に賞味期限が長いパンもおすすめ
普段の暮らしにも役立ちます
usan.22
【ユーザーさんのおうち防災④】“美味しい非常食”を楽しもう

「GWに非常物資の見直しをして、保存食を入れ替えました」という75さん。家族で災害備蓄用食料を選んだり試食したりすれば、防災意識を高める効果も!

本日のおやつ。
GWに非常物資の見直しをして、保存食を入れ替えました。
今週のおやつは毎日コレです🤗
クセになる味で私は好きです👌
75

“災害に強いおうちづくり”と“心地よい暮らし”は両立できますか?

—— 災害に強いおうちを目指した結果、居心地の悪い空間になってしまうのは不本意。「このコレクションだけは手放せない」「おうちを自分好みに飾りたい」という思いは、どうやって実現すればいいですか?

国崎さん:本や食器などのコレクションは、鑑賞用のお部屋やコーナーをつくるという方法があります。リビングや寝室はできるだけモノを減らして安全性を高めたいので、ウォークインクローゼットなどを活用するといいですね。モノが散らばると避難の妨げになってしまうような場所、廊下や玄関などは避けた方が無難です。

—— おうちの中を「モノが多い場所」と「モノが少ない場所」に分けることで、安全なエリアを確保するということですね。家具やインテリアアイテムを選ぶ上で、注意したいポイントはありますか?

国崎さん:家具選びで重視したいのは「軽さ」です。大きくて重い収納家具より、カラーボックスなどを活用したいですね。照明器具やフォトフレームなどのアイテムも、割れにくい素材、やわらかい素材のものを選ぶと安心です。お店でも、「これはどんな素材を使っているんだろう?」という新しい視点でアイテムを選ぶ楽しみが生まれますよ。

おうちにあるものやこれから買おうと思っているものを見直すことは、「自分や家族にとって“大事なもの”は何か」ということを考えるきっかけになります。時間をかけて、ゆっくり取り組んでいきたいですね。

【ユーザーさんのおうち防災⑤】軽い素材の照明器具

階段の照明器具を、重い金属製のものから軽い樹脂製のものに換えたkamiさん。「大きく揺れても周囲の壁と触れない長さ」に調整しているのも、防災的なアイデアですね!

階段の照明をIKEAのものに変えました。
元々ついていたのが好みのデザインではなく、かつ、重い金属製のシェードが落ちたら危険な気がして気になっていました。

IKEAのはプラスチックと樹脂でできていて、中の電球を包む形態なので、少しはマシかと。コードの長さも、大きく揺れても周囲の壁と触れない長さに設定しました。
kami
【ユーザーさんのおうち防災⑥】割れない素材だけどオシャレ!

ガラスの花瓶をポリカーボネート素材のものに変えたmatyさん。「見た目はガラスそのまま」だから、素敵な雰囲気をそのままキープできます。

玄関の花瓶を割れないポリカーボネートに変えました。見た目はガラスそのままでビックリです!
maty

無理やガマンはしない!おうちの防災は“積み重ね”が大事です

—— 防災への取り組みは「大変そう」「お金がかかりそう」というイメージだったのですが、思っていたよりも気軽に始められそうです!最後に、RoomClipユーザーさんへのメッセージをお願いします。

国崎さん:家は財産であり、暮らしの基盤になるものです。災害に遭った時、「家にいてよかった」と思えるようなおうちをつくっていきたいですよね。ポイントは、「無理やガマンをしない」こと。防災は「これで完成!」ということはなく、ずっと続けていくものなので、毎日ちょっとずつ見直しながら、自分のペースで積み重ねていくことが大切です。無理せず楽しく続けられる「自分なりの防災」を見つけていきましょう!

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