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Naoki.
「あなた、ちょっと質問していいかしら?」と彼女はにっこり笑って言った。何だろう。怖い。「私たちのこと勝手に面白おかしく脚色して、どこかに写真と一緒に公開しているでしょ?」…ああ、うん大筋合っている。ただ、特に脚色はしていない。「あ、えーっと、勝手に公開したのは謝るよ。けど脚色はして…」「プライバシーの侵害というのをご存知かしら?」何やらまた難しいことを持ち出してきた。テレビで観たのだろうか。彼女は尚も続ける。「民法上の不法行為といえるわね、いいのかしら?このままだと賠償請求及び掲載写真の削除を求める民事訴訟を起こすわよ」いろんな意味で面倒なことになったな、と僕は思った。まあ猫が弁護士雇って、簡易裁判所に訴状を提出する、という光景を見たくないわけでもなかったが…。『被告は答弁書に沿って口頭弁論をおこなってください』ちょっと面白そうだ。『原告は猫である』という作品が“書けそうである”。実に面白い。書かないけど。成功報酬はモンプチだろうか。「ちょっと何にやにやしているのよ、ちゃんと聞いているの?」「うん、まあ聞いているよ」「とにかく訴えて欲しくなかったら、そうね、ロイヤルカナンでも買ってくることね」ロイヤルカナンだって?!いつも食べているカリカリの5倍くらいするやつじゃないか。…うむ、そういうことね、それが狙いだったのね。彼女の後ろには『ポケット六法』とAmazonのロイヤルカナンのページが開かれたパソコンが煌々と光っていた。

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