2014年11月29日215
2014年11月29日215
コメント7件
「あんた、家に子ども(猫)が来たんだって？」彼(猫)は、水をちびちびやりながら僕に訊ねた。それは間違いなく水だったが、スコッチの匂いが漂ってきそうな飲み方だった。僕は彼(猫)を、便宜上“山中さん”と呼んでいる。「あら、まだ小さいの？どんな子かしら。」彼女(猫)とは初対面だったが、背中を包み込む上質なカシミヤストールのような声が僕をとても安心させた。“イソノさん”と呼ぶことにした。僕は二人にミシェルと朔太郎のことを説明した。簡単に言うと、“ワガママ”と“ヤンチャ”なのだが、まだ子どもたちが家に来て間もない為、うまく特徴を説明できなかったかもしれない。しかし彼(猫)らは、そんなことは特に気にもしていないようだった。「そうか、元気な子が来たみたいだな。」山中さん(猫)はまた水を一口飲んでそう言った。「とても愛されているようね。羨ましいわ。あ、ほら、あなたまた飲み過ぎてるわよ。」と、二人のやり取りは、とても微笑ましいものだった。僕は少し羨ましく思った。その後、世の中のキャットフードの種類や、ドライフードとウェットフードについての二人の見解、そして他国の猫のこと、そういった他愛もない話をしばらくした後、留守番をさせている子(猫)たちが気になった為、それではまた、と二人(猫)に挨拶をし、僕は帰路についた。帰り道、「しかし、あれはやっぱりお酒だよな。」と僕は呟いた。なんせ、後ろにカティ・サークの瓶が見えたのだ。
