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Naoki.
「もういいかい?」と彼は言った。「隠れましたか?」「いや、もうやらないわよ悪いけど」と彼女はソファから動かずに「退屈なゲームね」と言った。「ずるいです!早く隠れてください、鬼しかやらないなんてダメです!」「でも、やらないわよ寒いし」彼女は尚も動かない。かくれんぼかな、鬼しかやらないっていつもと同じじゃん、性格的なものなんだな、と思いながら僕はこたつでそんな二人の様子を見ていた。「隠れるなんて性に合わないのよ、わたしは逃げも隠れもしたくないの」彼女は、いい加減うるさいわね、という顔をしてソファの上で軽く伸びをし、そこからストっと降り、トコトコとキッチンの方まで歩いて行った。すると「あー!いま逃げましたー!」と叫びながら彼が走って追いかけて行き「逃げてないわよ!」と彼女は振り向いて彼に向かって行った。そのようにして、追いかけっこが始まった。今日も我が家は平和みたいだ。平和でうるさい。幸せな響きだ。『この世は平和で、そこは“うるささ”に満ちている』僕はそれが収まるまで外でタバコを吸うことにした。星なんてひとつも見えなかったし、冬の空気は必要以上にひんやりとしていた。

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