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Naoki.
「非常に興味深い話だ」と彼は言った。「オリーブの鞄のくだりが最高だね」「いや、別に『昨日あった面白い話』という訳じゃないんだけどね」僕は少し呆れて彼を見つめた。彼は前髪を真ん中でキチンと分けて、毛先には程良くパーマをかけていた。何処の美容室なんだろう。カット込みでいくらかな。「とにかく君じゃないなら見分け方はどうすればいいんだろう?」と僕が言うと、彼はひとしきり、うーん、と唸って「眠らせてくれるか、そうじゃないか」と言った。言い切った。いやいや君も…と思ったが、ひとまずは鞄で見分けるしかないようだった。「さて、実は今日は新作をお披露目に来たんだ。きっと気に入ると思うよ」と彼は口笛で『ジョニー•B•グッド』を吹きながら、いつものヌメ革の鞄から風呂敷ではなく、女性なら二人ほど包んでしまいそうなブランケットを取り出した。「さあ目を閉じて」…これでやっと眠りの世界へ……うん……いや…ちっとも眠くならない。「あれ、おかしいな」と彼は不思議そうにブランケットを裏返したり表にしたり、また裏返したりと、何度も点検していたが「うむ、弱っちゃったな、間違えたみたいだ」と言ってふいっと消えてしまった。おいおい、結局かよ。そしてまた朝が訪れようとしていた。

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