放射状に咲いた柾目の杢目が新鮮な脚物家具・日用品シリーズ「HANACHI(ハナチ)」。
自然が作り出す有機的なストライプが都会的な形状の中で不思議な魅力を放つ、国産木材の新しい可能性を感じさせる家具・日用品です。
「ヒノキのお盆」というといかにも和風に響きますが、ご覧頂いている写真の通り……和ともヨーロピアンともつかず、独特でモダンなデザイン。
たとえばブッシュクラフトの本場であるフィンランドやスウェーデンなどでも、ワンプレートランチを盛り付けるトレイはヨーロッパビーチやオークのものがいまだに主流ですが、これを和名で置き換えると「山毛欅(ブナ)のお盆」「楢(ナラ)のお盆」となり、やはりずいぶん和風のものを想像しますが……それでも「ヒノキ」のもつ響きとはどこか食い違う気がします。
それほどまでに日本の伝統として根付いているヒノキですが、言葉のもつ雰囲気とはちがって、じつは材そのものとしてはさまざまな風合いを生み出せる可能性を持っている木でもあります。
ふつう白紙や金属のうえに均一な線で表現すると、やや集権的で冷たい印象を与えがちなシンメトリー(左右対称)というデザインを、木の柾目によって表現するとこれほど柔らかくなるのはちょっと不思議なものです。
桃色からベージュまでのわずかな色合いの違い、さらにわずかな晩材(冬目などとも呼ばれる濃茶色の部分、寒い季節に遅くなった成長の名残)の太さの違い。
同じようでいてすべてが違う、でもすべてにまとまりがある———それはわれわれが心地よいと感じる、あらゆるモノやコトに共通する約束事なのかもしれません。