「こういうときしか全員揃わんもんやな」と親戚の誰かが言った。確かにそうだ。昔は正月の度に、全国の何処にいようとも親戚の殆どが祖父の家に集まり、誰からともなく昔話を始め、そして酒を飲み、お寿司をつまんでいたものだ。その中心はいつも祖父だった。しかし、やがて僕が高校生になる頃には、一人また一人と帰郷することは無くなり、地元に残った親戚たちもそれを境に急に老け込んでいったようだった。理由はわからない。皆の中心だった祖父ももう他界している。居ない家には更に誰も寄り付かない。そして祖母も亡くなってしまった。次に集まるのはいつになるのだろうか、その集まる理由を考えると少し憂鬱になる。それでも今日は思い出話をしよう。僕は姉や7つ離れた従兄弟と、祖母や祖父のことを語り合った。
「こういうときしか全員揃わんもんやな」と親戚の誰かが言った。確かにそうだ。昔は正月の度に、全国の何処にいようとも親戚の殆どが祖父の家に集まり、誰からともなく昔話を始め、そして酒を飲み、お寿司をつまんでいたものだ。その中心はいつも祖父だった。しかし、やがて僕が高校生になる頃には、一人また一人と帰郷することは無くなり、地元に残った親戚たちもそれを境に急に老け込んでいったようだった。理由はわからない。皆の中心だった祖父ももう他界している。居ない家には更に誰も寄り付かない。そして祖母も亡くなってしまった。次に集まるのはいつになるのだろうか、その集まる理由を考えると少し憂鬱になる。それでも今日は思い出話をしよう。僕は姉や7つ離れた従兄弟と、祖母や祖父のことを語り合った。