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Naoki.
「死相が出てるわね」―こたつで目覚めた僕の顔を覗き込みながら彼女は言った。最近また、寝室に行くのが面倒になってきている。彼(睡魔)が仕事をしてくれるのをいいことに、こたつでそのまま眠ってしまうのだ。眠りにつく瞬間は至福なのだけれど、喩えようのない身体の痛みで目覚める朝はつらい。疲れが取れていないのだろう。僕はゆっくり起き上がり、洗面台まで行き、そこの鏡に自分を映してみた。するとそこには、小さくはない“くま”によって目が窪み、不自然に頬がこけた男がこちらを見ていた。信じたくはないが、僕の顔のようだった。「死相ってほんとに出るのね。ドブ川に飛び込んでそのまま数日過ごしたみたいな顔してるわよ」と彼女は言った。そして、ふうん、珍しいもの見たわ、という顔をし、同意を求めるように彼の方を向いた。「死相って…」「……」「…おいしくないですよね!」と僕らの反応を見ながら彼は言った。自分で気づいて自分で答えを出したのを成長と見るべきか、そもそも食べ物ではないので訂正した方が良いのか、ひとしきり考えた結果、もういっそ無視しようという結論に達したので僕は無視することにした。彼女も同様のようだった。淹れたてのコーヒーからはゆっくり湯気が立ち昇り、上の階の部屋からは、ゴウンゴウンという洗濯機の音が天井を通り抜け、虚しく僕の部屋に響いていた。

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