いま履いているパンツが灰色だわ

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結局4日間故郷で過ごし、4日目に飛行機に乗り込むまで僕は、変わらないようで変わってしまった物たちを眺め、変わったようで変わらない人たちを眺めて過ごした。人々は20年前と同じ特に目立たない灰色の顔をし、そのまま身体だけが成長を続け、やがて老化を始めているようだった。それに合わせて町全体にもカバーを掛けたように灰色が行き渡っていた。あと2.3日も居れば、僕も立派にこの町の灰色に染まっていただろう。このまま何もかもを放り出すのも悪くないな、と思った。しかもそれはとても素晴らしい考えのようにも思えた。この土地で過ごし、この土地に埋まる。「またね」も「次はいつ」もない。始まった場所に帰る、そしてそのまま終わる。何もおかしくない。誰にも迷惑がかからない。摂理だ。…しかし東京には東京の灰色があり、故郷には故郷の灰色がある。僕はまだそうする訳にはいかないようだった。それはハツカネズミと“どぶねずみ”の違いでしかないのかもしれない。そしてこの旅は一旦終わろうとしている。もちろん「またね」と言い「次はいつ」の話もした。「__キャビンクルーは着陸に備えてください」とアナウンスされる。僕は飛行機のシートに座ったまま、身体の灰色が少しずつ“灰色”に変わっていくのをただただ見ていた。
結局4日間故郷で過ごし、4日目に飛行機に乗り込むまで僕は、変わらないようで変わってしまった物たちを眺め、変わったようで変わらない人たちを眺めて過ごした。人々は20年前と同じ特に目立たない灰色の顔をし、そのまま身体だけが成長を続け、やがて老化を始めているようだった。それに合わせて町全体にもカバーを掛けたように灰色が行き渡っていた。あと2.3日も居れば、僕も立派にこの町の灰色に染まっていただろう。このまま何もかもを放り出すのも悪くないな、と思った。しかもそれはとても素晴らしい考えのようにも思えた。この土地で過ごし、この土地に埋まる。「またね」も「次はいつ」もない。始まった場所に帰る、そしてそのまま終わる。何もおかしくない。誰にも迷惑がかからない。摂理だ。…しかし東京には東京の灰色があり、故郷には故郷の灰色がある。僕はまだそうする訳にはいかないようだった。それはハツカネズミと“どぶねずみ”の違いでしかないのかもしれない。そしてこの旅は一旦終わろうとしている。もちろん「またね」と言い「次はいつ」の話もした。「__キャビンクルーは着陸に備えてください」とアナウンスされる。僕は飛行機のシートに座ったまま、身体の灰色が少しずつ“灰色”に変わっていくのをただただ見ていた。
Naoki.
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結局4日間故郷で過ごし、4日目に飛行機に乗り込むまで僕は、変わらないようで変わってしまった物たちを眺め、変わったようで変わらない人たちを眺めて過ごした。人々は20年前と同じ特に目立たない灰色の顔をし、そのまま身体だけが成長を続け、やがて老化を始めているようだった。それに合わせて町全体にもカバーを掛けたように灰色が行き渡っていた。あと2.3日も居れば、僕も立派にこの町の灰色に染まっていただろう。このまま何もかもを放り出すのも悪くないな、と思った。しかもそれはとても素晴らしい考えのようにも思えた。この土地で過ごし、この土地に埋まる。「またね」も「次はいつ」もない。始まった場所に帰る、そしてそのまま終わる。何もおかしくない。誰にも迷惑がかからない。摂理だ。…しかし東京には東京の灰色があり、故郷には故郷の灰色がある。僕はまだそうする訳にはいかないようだった。それはハツカネズミと“どぶねずみ”の違いでしかないのかもしれない。そしてこの旅は一旦終わろうとしている。もちろん「またね」と言い「次はいつ」の話もした。「__キャビンクルーは着陸に備えてください」とアナウンスされる。僕は飛行機のシートに座ったまま、身体の灰色が少しずつ“灰色”に変わっていくのをただただ見ていた。
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