スカイライナーは、倍以上の料金だけあって、二分の一以下の時間で目的地まで運んでくれた。世の中は僕が思ってるよりうまく出来ているようだ、とペットボトルの蓋くらいだけ感心した。国内線のターミナルは12月の午後にしてはそこまで慌ただしい様子も無く、それぞれがそれぞれの色をしている。掲示板は掲示板の色をしていたし、カウンターはカウンターの色、売店は売店の色をしており、飛行機は飛行機の色をしていた。エスカレーターが喫煙所の色をしている、というようなこともなかった。僕は薄く不味いコーヒーを飲み、パサパサとしたパンを食べ、搭乗口へと向かう。そしてキャビンクルーは、パッとしない顔でパッとしない僕の顔を見て、儀礼的な笑顔を浮かべ「チケットを拝見します」と声を掛けてくる。僕ももちろん儀礼的に微笑みチケットを見せる。彼女たちが何を思って一連の動作を行っているかわからない。犬のことかもしれないし、“カモシカ”のことなのかもしれない。そして僕は英語の機内アナウンスを噛んだのを見逃さなかった。飛行機は1万フィート上空を飛び続けている。朔太郎は「僕できます!」と言った。ミシェルは最後まで口を閉じていた。
スカイライナーは、倍以上の料金だけあって、二分の一以下の時間で目的地まで運んでくれた。世の中は僕が思ってるよりうまく出来ているようだ、とペットボトルの蓋くらいだけ感心した。国内線のターミナルは12月の午後にしてはそこまで慌ただしい様子も無く、それぞれがそれぞれの色をしている。掲示板は掲示板の色をしていたし、カウンターはカウンターの色、売店は売店の色をしており、飛行機は飛行機の色をしていた。エスカレーターが喫煙所の色をしている、というようなこともなかった。僕は薄く不味いコーヒーを飲み、パサパサとしたパンを食べ、搭乗口へと向かう。そしてキャビンクルーは、パッとしない顔でパッとしない僕の顔を見て、儀礼的な笑顔を浮かべ「チケットを拝見します」と声を掛けてくる。僕ももちろん儀礼的に微笑みチケットを見せる。彼女たちが何を思って一連の動作を行っているかわからない。犬のことかもしれないし、“カモシカ”のことなのかもしれない。そして僕は英語の機内アナウンスを噛んだのを見逃さなかった。飛行機は1万フィート上空を飛び続けている。朔太郎は「僕できます!」と言った。ミシェルは最後まで口を閉じていた。