とてもまずい。パソコンデスクに向かって大事な書類を作成していると、カテゴリー5のハリケーン・カトリーナのような眠気が突然僕を襲ってきた。「いるんだろ?」「ははは、さすがだね、お久しぶり」向かいのデスクを見ると、片肘をついて座っていた彼(睡魔)がこちらを見ていた。「いや、ほんとに困るよ今来られても、仕事中なんだよね」と僕は小声で抗議した。「うん、まあ僕も仕事だよ、時間は選ぶことができない、そういう決まりだからね」と彼は前にも言ったよね、という顔でニコニコしている。頭にくる笑顔だ。「そうかもしれないけどさすがにまずいよ、見たとおり忙しいんだ、悪いんだけど夜に改めて来てくれないかな?」「君の気持ちも分かるよもちろん、でもね、僕も所属長に報告書を提出しなくちゃならないからさ」報告書だって?僕は所属長がどんな顔をしているのか気になったが、それより眠ってしまうこともそうだが、彼が周りに見えてないとしても自分がひとりごとを言っているのを周りにバレれたくない気持ちで焦っていた。「頭で思い浮かべるだけでいいよ」「え?」「それで伝わるからさ」と彼は言った。『あーあー』「聞こえてるよ」『なるほど、これは便利だ!』いやいや違う。『そうじゃなくてさ、まあそうなんだけど、これ以上はほんと困るよ』と僕が言うと、ニコニコした顔を崩さず「ほんのジョークだよ」と彼は言った。「ほら、眠くなくなっただろ?」確かに先ほどまでの抗い難い季節風のようなすさまじい眠気は、何処かに吹き飛んでしまっていた。『おいおい冗談は…』「ははは、じゃあね」と彼は僕の言葉を待たずに消えていった。眠気を飛ばしてくれたみたいな結果になっているが、そもそもその眠気は彼(睡魔)のせいなのにな、と思った。
とてもまずい。パソコンデスクに向かって大事な書類を作成していると、カテゴリー5のハリケーン・カトリーナのような眠気が突然僕を襲ってきた。「いるんだろ?」「ははは、さすがだね、お久しぶり」向かいのデスクを見ると、片肘をついて座っていた彼(睡魔)がこちらを見ていた。「いや、ほんとに困るよ今来られても、仕事中なんだよね」と僕は小声で抗議した。「うん、まあ僕も仕事だよ、時間は選ぶことができない、そういう決まりだからね」と彼は前にも言ったよね、という顔でニコニコしている。頭にくる笑顔だ。「そうかもしれないけどさすがにまずいよ、見たとおり忙しいんだ、悪いんだけど夜に改めて来てくれないかな?」「君の気持ちも分かるよもちろん、でもね、僕も所属長に報告書を提出しなくちゃならないからさ」報告書だって?僕は所属長がどんな顔をしているのか気になったが、それより眠ってしまうこともそうだが、彼が周りに見えてないとしても自分がひとりごとを言っているのを周りにバレれたくない気持ちで焦っていた。「頭で思い浮かべるだけでいいよ」「え?」「それで伝わるからさ」と彼は言った。『あーあー』「聞こえてるよ」『なるほど、これは便利だ!』いやいや違う。『そうじゃなくてさ、まあそうなんだけど、これ以上はほんと困るよ』と僕が言うと、ニコニコした顔を崩さず「ほんのジョークだよ」と彼は言った。「ほら、眠くなくなっただろ?」確かに先ほどまでの抗い難い季節風のようなすさまじい眠気は、何処かに吹き飛んでしまっていた。『おいおい冗談は…』「ははは、じゃあね」と彼は僕の言葉を待たずに消えていった。眠気を飛ばしてくれたみたいな結果になっているが、そもそもその眠気は彼(睡魔)のせいなのにな、と思った。