しょうがないので僕は夜勤明けに、清水の舞台から飛び降りたつもりで(大げさ)ロイヤルカナンを二人に買い与えた。「あら、やっぱり上品な味がするわ。昔を思い出すわね、紅茶でも入れてちょうだい」と彼女は言い(田舎生まれのくせに)「ちょっと味が薄いです!」と彼は言った。低カロリーだからこれで順調にやせていくのかな?と思ったらまあ買って特に損はないようだった。でも次からはサイエンスダイエットくらいにしておこう。「これで訴訟の件は考え直してもらえるかな?」と僕は訊いた。しかしそれは無視されてしまった。「それにしてもあなた、小説家気取りになっているようだけど、趣味をはき違えて自分の能力と思っているアマチュアが一番“たち”悪いのよ?」“こんにちは、良い天気ですね”とでも言うような、普段の挨拶程度の口調で彼女は言った。間違ってないのかもしれないが、あまりにも当然のように言うので、恐らくいつか僕は精神を病んでしまうに違いないな、と思った。(やれやれ)僕はサイエンスダイエットすら買うのをやめようと心に誓った。そして今年もそろそろ終わろうとしていた。
しょうがないので僕は夜勤明けに、清水の舞台から飛び降りたつもりで(大げさ)ロイヤルカナンを二人に買い与えた。「あら、やっぱり上品な味がするわ。昔を思い出すわね、紅茶でも入れてちょうだい」と彼女は言い(田舎生まれのくせに)「ちょっと味が薄いです!」と彼は言った。低カロリーだからこれで順調にやせていくのかな?と思ったらまあ買って特に損はないようだった。でも次からはサイエンスダイエットくらいにしておこう。「これで訴訟の件は考え直してもらえるかな?」と僕は訊いた。しかしそれは無視されてしまった。「それにしてもあなた、小説家気取りになっているようだけど、趣味をはき違えて自分の能力と思っているアマチュアが一番“たち”悪いのよ?」“こんにちは、良い天気ですね”とでも言うような、普段の挨拶程度の口調で彼女は言った。間違ってないのかもしれないが、あまりにも当然のように言うので、恐らくいつか僕は精神を病んでしまうに違いないな、と思った。(やれやれ)僕はサイエンスダイエットすら買うのをやめようと心に誓った。そして今年もそろそろ終わろうとしていた。