セリアの瓶。ピーナッツとか入れてます

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玄関のドアを開けると、ピリッと冷えた空気がすぐさま僕を包み込み、手足の隙間からゆっくりと冷気が浸入してきた。今日もとても寒い。盆だろうが、正月だろうが、シフト勤務の人々には変わらない日常の中の一コマであって、特に何をするでもなく昨日が終わって今日が始まるだけである。まあ通勤電車が空いているのを見ると「なるほど、正月だなあ」とは思う。しかしながら昔と比べて営業している店舗も増えた為、あの小学生くらいのときにうっかり正月に外に出たときに感じていた“世界でひとりきり”の感覚もほとんどない。ああ、一度でいいから9連休くらいしてみたいものだ。「またひとりきりでややこしいこと考えてるようだね、心の声がだだ漏れしているよ」睡魔だ。僕はもう驚かない。「君が勝手に心の中を覗いているだけだろ?」彼はいつもの西洋人みたいなジェスチャーで少し大袈裟に肩をすくめて首を傾げた。「ところでもう仕事なのかい?」と彼は言った。「僕の担当の皆さんはまだベッドの中にいるようだけどね」「たまたま正月休みだっただけで、シフトによっては大晦日に夜勤なんてこともあるんだよ。君は今日は仕事かい?」と僕が言うと、「見ての通り!」と彼は言った。しかし、いつもと同じ格好だし、これから眠らせてくれるというわけでもなさそうなので、何をもって“見ての通り”なのか僕には分からなかった。いつものヌメ革カバンだって肩から提げていた。「まあいいよ」と僕は言い、「じゃあまたね」と彼は帰って行った。ほんとに何しに来たんだか。今年こそ担当替え……。……?……どうやら眠っていたようだ。「お年玉だよ」と聞こえた気がした。「仕事だろ」と僕は思った。
玄関のドアを開けると、ピリッと冷えた空気がすぐさま僕を包み込み、手足の隙間からゆっくりと冷気が浸入してきた。今日もとても寒い。盆だろうが、正月だろうが、シフト勤務の人々には変わらない日常の中の一コマであって、特に何をするでもなく昨日が終わって今日が始まるだけである。まあ通勤電車が空いているのを見ると「なるほど、正月だなあ」とは思う。しかしながら昔と比べて営業している店舗も増えた為、あの小学生くらいのときにうっかり正月に外に出たときに感じていた“世界でひとりきり”の感覚もほとんどない。ああ、一度でいいから9連休くらいしてみたいものだ。「またひとりきりでややこしいこと考えてるようだね、心の声がだだ漏れしているよ」睡魔だ。僕はもう驚かない。「君が勝手に心の中を覗いているだけだろ?」彼はいつもの西洋人みたいなジェスチャーで少し大袈裟に肩をすくめて首を傾げた。「ところでもう仕事なのかい?」と彼は言った。「僕の担当の皆さんはまだベッドの中にいるようだけどね」「たまたま正月休みだっただけで、シフトによっては大晦日に夜勤なんてこともあるんだよ。君は今日は仕事かい?」と僕が言うと、「見ての通り!」と彼は言った。しかし、いつもと同じ格好だし、これから眠らせてくれるというわけでもなさそうなので、何をもって“見ての通り”なのか僕には分からなかった。いつものヌメ革カバンだって肩から提げていた。「まあいいよ」と僕は言い、「じゃあまたね」と彼は帰って行った。ほんとに何しに来たんだか。今年こそ担当替え……。……?……どうやら眠っていたようだ。「お年玉だよ」と聞こえた気がした。「仕事だろ」と僕は思った。
Naoki.
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玄関のドアを開けると、ピリッと冷えた空気がすぐさま僕を包み込み、手足の隙間からゆっくりと冷気が浸入してきた。今日もとても寒い。盆だろうが、正月だろうが、シフト勤務の人々には変わらない日常の中の一コマであって、特に何をするでもなく昨日が終わって今日が始まるだけである。まあ通勤電車が空いているのを見ると「なるほど、正月だなあ」とは思う。しかしながら昔と比べて営業している店舗も増えた為、あの小学生くらいのときにうっかり正月に外に出たときに感じていた“世界でひとりきり”の感覚もほとんどない。ああ、一度でいいから9連休くらいしてみたいものだ。「またひとりきりでややこしいこと考えてるようだね、心の声がだだ漏れしているよ」睡魔だ。僕はもう驚かない。「君が勝手に心の中を覗いているだけだろ?」彼はいつもの西洋人みたいなジェスチャーで少し大袈裟に肩をすくめて首を傾げた。「ところでもう仕事なのかい?」と彼は言った。「僕の担当の皆さんはまだベッドの中にいるようだけどね」「たまたま正月休みだっただけで、シフトによっては大晦日に夜勤なんてこともあるんだよ。君は今日は仕事かい?」と僕が言うと、「見ての通り!」と彼は言った。しかし、いつもと同じ格好だし、これから眠らせてくれるというわけでもなさそうなので、何をもって“見ての通り”なのか僕には分からなかった。いつものヌメ革カバンだって肩から提げていた。「まあいいよ」と僕は言い、「じゃあまたね」と彼は帰って行った。ほんとに何しに来たんだか。今年こそ担当替え……。……?……どうやら眠っていたようだ。「お年玉だよ」と聞こえた気がした。「仕事だろ」と僕は思った。
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