中古住宅を購入し、住まい手のライフスタイルにあった形にガラリと変える「リノベーション」。この連載では「施主目線」に立ち、リノベーションでなければならなかった理由やパートナーを選んだ基準、そしてこだわりポイントを掘り下げます。
今回は、福岡県の住まいのmaruさんにお話をお伺いします。maruさんは、お子さんにまで「このおうちやだ」と言われるほど雑然とした築40年のお住まいから引っ越し、「住みたい場所で満足する家」を持つべく、築34年の中古マンションを購入しリノベーションされました。そこは以前と異なり、お子さんにとって「自慢の家」になりました。どのようなリノベーションになったのか、さっそくみていきましょう。
今回教えてくれたユーザーさん♪
そもそも家探しをしようと思ったきっかけは何ですか?
「築40年くらいの2階建ての建物を借りて、1階をお店、2階を住まいにしてましたが、夏は酷暑、冬は極寒と隙間風もすごくて環境が良くないため、インテリアにも興味を持てなくなり雑然とした部屋になっていました。子どもにまで『このおうちやだ』と言われる始末。いい物件があれば中古を購入してリノベしたいな、と思ってました。意外と簡単に物件が見つかり、すぐに実現した感じです。」
どうして、リノベーションじゃなければダメだったんですか?
「それは、満足できる、自分たち好みの家をつくりたかったからです。新築戸建てなら、自分好みの家をつくれるでしょう。しかし、住みたい土地=買える土地とはなかなかならず、現実的ではない選択でした。住みたい場所で満足する家を持つなら中古マンションをリノベするというのが私たちが選んだ家の形でした。」
リノベーションという選択肢を考えたきっかけと、情報&依頼先の探し方を教えてください
「夫婦そろってインテリア好きで、自分たちの好む個性を家づくりには生かしたいと思っていました。むしろ、最初から新築マンションを購入するより、中古マンションを自分達らしくリノベーションするという考えしかなかったかもしれません。
依頼先選びは、私たちがやりたいと思ってることを理解してくれること、センスがあること、費用がお手頃という点から、知人も何組か施工していたコードスタイルに決めました。」
実際にできあがった家を見たときは、どう思いましたか?
「本当に私達の理想の部屋ができて感動しました。躯体むき出しのスケルトン天井はカッコ良く、1番悩んでこだわったキッチンは使いやすく、料理を頑張りたくなるようになりました。主婦業を疎かにしていた自分が生まれ変わるキッカケになりました。何より子どもの喜びがすごかったですね。娘にとっては自慢の家です。おうちが大好きになったようで、それが1番うれしかったです。」
特に気に入っている場所はどこですか? 5つ教えてください
①私の城よと言えるキッチン
「もともと、家事は苦手で片付けや整理整頓が苦手でした。毎日ご飯作るのが憂鬱で。今回キッチンは1番悩んで考えてこだわってつくりました。なるべく作業スペースを確保したかったので、L字キッチンと、モルタルの作業台をつくりました。収納もしっかりとつくり、整頓もできるようになりました。キッチンの床は、タイルにしたいと思い、いろんなタイルのサンプル帳をみましたね。無地のテラコッタやグレー系のものも考えましたが、ちょっと個性を出したくて、柄物のタイルを選びました。相変わらずあんまり家事は得意じゃないけど、『私の城よ』と言いたくなるキッチンができたと思います。」
②アイアンの室内窓
「もともとあまり広くない物件だったので、なるべく広く見せたい、でも仕切りも必要ということで、リビングに入ってすぐのキッチンの壁に室内窓を使い開放感を持たせました。またリビングすぐ横の子ども部屋もとても狭くあまり日が入らないので、入り口を室内窓にして光を取り入れ、広がりをもたせました。室内窓が家全体のアクセントにもなるし、機能的でもあって一石二鳥です。」
③モルタルに造り付けの飾り棚
「もともと持っていたアンティークの小物や、大好きなセレクトショップの雑貨、アーティストの作品など飾りたいものがいろいろありまして、それらを飾る棚がどうしても欲しかったのでダイニングの壁に作ってもらいました。モルタルの冷たい雰囲気にウッドのぬくもりのMIXがとても気に入ってます。」
④スケルトン天井にアイアンのメッシュ
「リノベの醍醐味といえばスケルトン天井ではないでしょうか。寝室と子ども部屋、バスルーム以外の天井は全てスケルトンに。リノベでしか出せない無骨なかっこよさがとても好きで。特にダイニングの天井にはアイアンのメッシュを設置して、たくさんのグリーンを吊るして飾れるようにしました。ちょっとショップのような雰囲気になり、お気に入りです。」
⑤無垢のフローリング
「今回のリノベはパッケージプランだったので、いろいろと制約もありました。もちろんオプションで好きなようにできるのですが、何でもかんでもオプションを付けたらパッケージの『予算を抑えられる』という良さがなくなるわけで、なるべくオプションは付けない方向で頑張りました。が、やはりフローリングだけはどうしても妥協できませんでした。大きな面積を占める床と壁は家全体のイメージを大きく印象付けるので、妥協せずに選びました。また、真冬に無垢フローリングの良さは出ますね。冷たいけど、温もりがあります。裸足で歩いた時の心地よさは無垢ならではだなと思いました。妥協しなくてほんと良かったです(笑)」
リノベーションを振り返ってみて、いかがでしたか?
「よかったこととしては、自分たちの好み通りにできたこと、予算も戸建てや新築マンションよりも抑えられたことは当たり前ですが、家族がおうち大好きになったこと、家でみんなでダラダラ過ごしてる風景が好きになれたことですかね。
大変だったことは素材選び・色選びですね。最終決断っていうのが、『ほんとにこれで良いのか、もっと良いものがあるのではないか』と不安になったり、やはり大きな買い物ですから決断できない部分というのは大変でした。
もしまたリノベーションするなら……次は娘が巣立った後に寝室と子ども部屋をいじって今あるウォークインクローゼットをもっと使い勝手良くしたいですね。床や壁は経年変化を楽しんでいきたいのでそのままいじらずにいたいですね。」
お話をお伺いして
住みたい場所で満足いく家を持つため、中古マンションリノベを選択されたmaruさん。むしろ、インテリア好きの夫婦にとって、最初から新築マンションを購入するより、中古マンションを自分達らしくリノベーションという考えしかなかったかも、とmaruさんは語ります。
そのこだわりは、インテリアスタイルからも伝わります。躯体むき出しのスケルトン天井が醸し出す、ヴィンテージ感と無骨なかっこよさは中古住宅リノベだからこそ味わえる醍醐味。倉庫のような辛口スタイルの決め手になっていますよね。
モルタルやアイアンといった無機質な素材と、木材のぬくもりが心地よく調和しているmaruさんのお宅。素材と色選びが大変だったと語ってくれたほど、そのこだわりはインテリアに反映され、ディスプレイとも調和し、まるでギャラリーのようで、ハイセンスな空間に仕上がっています。
天井に付けられたディスプレイ用のアイアン、自分の調理スタイルに合わせたキッチンなど、maruさんの「こうしたかった」というインテリアスタイルが各所に表現されているリノベーションのカタチ。住む場所、インテリアスタイル共に「家族が好きな家」を実現できるのも、リノベーションの魅力の一つではないでしょうか。家族が家を好きになるリノベ、素敵ですね。
maruさんのお住まいについて
- 所在地: 福岡
- 物件種別: マンション
- 建築面積: 76平米
- 間取り: 2LDKS
- この家に住む人: 夫婦、娘
- 施工期間: 1ヶ月
- 総費用: 900万円
- 設計: コードスタイル
maruさんはご紹介した他にもRoomClipに素敵なインテリアを投稿していらっしゃいます。ぜひご覧下さい!