【エシカル協会・堀田さんに聞く】暮らしながらできる「エシカル」なことって何ですか?

【エシカル協会・堀田さんに聞く】暮らしながらできる「エシカル」なことって何ですか?

「SDGsを実現するために、自分ができることは何だろう」。そんな思いを抱えている人も多いのではないでしょうか。いま注目を集めている「エシカル」という考え方が、その思いに答えてくれるかもしれません。エシカル協会の堀田三佳さんにお話を伺いました。

エシカル協会 堀田三佳さん
堀田三佳さん

一般社団法人エシカル協会 事務局次長。エシカル・コンシェルジュ講座企画運営担当。エシカル・コンシェルジュとして、高校、大学等、教育機関や自治体へのエシカル消費の講演活動を通して、多くの方へのエシカル普及啓発に務めている。

記事後半では、RoomClipユーザーさんの素敵な投稿もご紹介します♪堀田さんのコメントとあわせてぜひご覧ください!

エシカルとは、「エいきょうを シっかりと カんがえル」こと

▲エシカル・コンシェルジュ講座の様子(※現在はオンラインにて開催しております)

—— 堀田さんが「エシカル」という言葉に興味を持ったきっかけについて教えてください!

私は以前、アロマや自然療法を扱う化粧品メーカーで働いていたんですが、その会社ではよく勉強会が開催されていたんです。その中で、モノづくりの裏にはどんな問題が生じているのか、ひとつの製品がどのように環境とつながっているのか、そういう問題意識を育んだことが、いまの私の活動の根底にあります。

その頃、エシカル協会の代表理事である末吉理花のトークイベントに参加し、“生活者”として社会貢献できる方法を知りました。「もっと具体的なアクションを起こしたい」と思い、エシカル・コンシェルジュ講座を受講することに。そこで、世界中のさまざまな問題や取り組みについて、さらに幅広く学ぶことができました。

—— エシカル・コンシェルジュ講座で初めて知ったことはありますか?

たくさんありますが、例えば動物福祉の問題があります。「卵」は日々の食卓に欠かせない食材ですが、その中には鶏を劣悪な環境で飼育している養鶏場も存在するんです。動物に対する搾取について学んでからは、平飼い(鶏をケージに閉じ込めず、放し飼いにする飼育法)の卵を買うようになりました。

自分のなにげない選択が、何らかの問題につながっていることが分かったとき、「自分はどうしたらいいんだろう」と考え、行動すること。「エシカル」とは、まさにそういうことなんです。英語の「ethical」は日本語にすると「倫理的な」「道徳上の」という言葉に訳されますが、エシカル協会では「エいきょうを シっかりと カんがえル」というふうにお伝えしています。何かを買うときや捨てるときに、ぜひ思い出していただきたいですね。

若い世代を中心に、ますます広がっていく「エシカルな考え方」

▲北海道下川町下川中学校の中学2年生に、SDGsを学ぶ特別授業(2018年11月)をしたときの様子

—— エシカル協会は今年、発足から7年目を迎えます。「エシカル」を取り巻く状況は変わりましたか?

ここ数年で、女性誌などでも「エシカル消費」というキーワードを取り上げていただくことが増えました。エシカル協会のメインの活動は「エシカル・コンシェルジュ講座」を通してエシカルな学びを提供し、小さなことでも行動に移す実践者を輩出していくことですが、当初は数十人規模だった受講生が、今は二千人を超えています。中学生から80代の方まで、幅広い年代の方々が「エシカル」に興味を持ち、海外を含むさまざまな地域で受講しています。

また、数年前から小・中学校の授業で取り上げられている「SDGs」に加えて、今年の4月からは「エシカル消費」も登場します。家庭科や社会だけでなく、国語や英語でも「エシカル」に関する内容が出てくるので、これまでより横断的に学べるようになっているんです。

—— 若い世代に、これからますます浸透していくんですね。

就活中の大学生の間では、「エシカル就活」という言葉も生まれています。学生側に「環境や社会に対する取り組みができている企業で働きたい」という思いがある以上、より良い人材を採用したい企業は、積極的に「エシカルな取り組み」をしていく必要があります。

環境問題や社会問題に取り組む若者が増えているのは、「今のままではこうなってしまうかもしれない」という不安な未来予想が、彼らにとって“自分ごと”だからなんです。親世代も「応援してるよ」ではなく「一緒にやっていこう」と言えるよう、ともに学んでいけるといいですね。

「100%エシカル」な取り組みは実現できない?

▲消費者庁主催の子ども向けエシカル消費ワークショップの様子

—— コロナ禍によって家で過ごす時間が増え、「おうちでできるエシカルな取り組み」を始めた人、始めたいと考えている人が増えています。

世界中で新型コロナが広がりはじめた頃、スーパーの陳列棚からいろんなものがなくなりましたよね。モノが届かない、原材料がなくなった、などの不便に直面したことで、普段手にしている製品の背景をリアルに感じ、ライフスタイルを考え直すきっかけになったのではないでしょうか。

マスクがないならおうちにある布でつくろう、野菜が手に入らないなら家庭菜園を始めてみよう、そういう発想はとても「エシカル」です。日本にはもともと「もったいない」という精神性があり、持っているものを工夫して再利用する知恵があります。そういう考え方やアイデアが見直されたのは、とても良いことだと思います。

—— 一方で、「厳密に考えると、これはエシカルじゃないのでは?」と悩んでしまう方もいらっしゃるようです。

確かに、「100%エシカル」ということが実現しにくいのは事実です。たとえば、地元の野菜を買うことで地産地消を実践していたら、「それは農薬を使っている野菜だから、土壌を汚染していますよね?」と言われてしまう……なんてことも起こりえるわけです。遠い国で作られたフェアトレード製品を飛行機で運ぶのも、CO2削減という点から見れば「それってどうなの?」となってしまう。

「エシカル」に、ただ唯一の正解はありません。その人の選んだものが、環境、社会、地域と、どんなところに配慮され、貢献しているものなのか、どの価値観を優先させるのかは、人それぞれ違って当然です。どんな活動もどこかで矛盾が生まれてしまうものだし、壁にぶつかることもあります。そのときに「これはダメだ」とあきらめてしまうのではなく、自分が選ぶもののもたらす影響を考え、「どうしたらもっと良くなるか」を考え続けていくことを大切にしたいですね。

生活者として、すぐに始められる「エシカル」なこと

▲堀田さんご自身のエシカルな実践をご紹介。写真左:シーツを再利用してハンカチサイズにリメイク、ティッシュの代わりにも使えます。写真右:割れたり欠けたりした陶磁器を修復する伝統的手法「金継ぎ」。

—— 「エシカルなことを始めてみたいけど、何から手をつけたらいいか分からない」というときは、どうすればいいでしょうか。

いちばん良い方法は、「自分の現状を把握すること」です。たとえば「毎日コーヒーを飲んでいる」だったら、今日からフェアトレードのコーヒーを選んでみる。「洋服が好き」だったら、次に買うときはファストファッションではなく、オーガニックコットン製の長く使える服を買ってみる。普段、何に時間とお金を使っているか、振り返ってみましょう。

RoomClipユーザーさんは、リメイクやDIYを楽しんでいる人も多いですよね。マネしてみたいアイデアをストックしておいて、時間があるときに挑戦してみるのも良いと思います。「こんなリメイクをしたよ」「こんな野菜をつくっているよ」という情報を発信するのも“おすそわけ”の精神で、エシカルな活動といえます。

—— 堀田さんご自身は、具体的にどんなことをされていますか?

大きいところでは、自宅の電気を自然エネルギーの電力会社に変えました。日本の電力は火力発電がメインですが、地球温暖化の原因となる大量のCO2を排出するし、化石燃料もいつか枯渇してしまう。電力の自由化によって、水力や風力、太陽光などのクリーンエネルギーを個人で選べるようになりました。電力会社を切り替える手続きも、実はとても簡単なんですよ。

あとは、小さなコンポストを使っています。コンポストというと据え置き型の大きいものをイメージする人も多いと思いますが、私が使っているのは、おうちの中に置いておいても気にならないトートバッグ型のコンポスト。ニオイもしないので、一人暮らしのワンルームで使っている人も多いそうです。

—— 「エシカルな取り組み」をする上で、いちばん大切なことは何ですか?

なんといっても「続けること」が大事。自分自身がハッピーで「楽しい!」と感じられることでないと、人間はなかなか続けていくことができません。義務感にとらわれたり、無理をしたりする必要はないので、「これならできそう!」ということをぜひ探してみてください。暮らしの中に自然と取り入れられることなら、気負わずに続けていけますよ。

RoomClipユーザーさんのエシカルな投稿をピックアップ♪

RoomClipでも、エシカルな取り組みを楽しんでいるユーザーさんがたくさん!注目のアイテムや季節の楽しみなどの素敵な投稿をピックアップ、エシカル協会の堀田さんにコメントをいただきました♪

気軽に始められるバッグ型コンポスト

コンポスト生活3ヵ月目。
続かないかと思ったけど、このセットは手軽でおしゃれなので案外楽しく続いています。
生ゴミが減って、家庭菜園の肥料として活躍中。
エコな循環が生まれました。
kodemari
エシカル協会 堀田三佳さん
エシカル協会 堀田三佳さん

「生ゴミが減って、栄養たっぷりの土となり、自分で育てた美味しい野菜が食卓へ並ぶ。最高の循環生活ですね!これこそ、エシカルな暮らしの楽しいところです。匂いも虫も気にならず、マンション暮らしの私も愛用しています。」

保存にも調理にも使えるシリコンバッグ

"スタッシャー"知ってますか?
妹がプレゼントしてくれたサスティナブルなキッチンアイテム✨
スタッシャー、これすごく便利でお気に入り♡

🙆‍♀️洗って繰り返し使える
🙆‍♀️野菜が長持ちする
🙆‍♀️このまま調理もできる(湯煎・レンジ・オーブンOK)

なんて優秀なの🥺💕
ナイロン袋やラップの削減になるし、野菜の持ちが格段に上がって食材のロスも減りました🥕
食材だけでなく、ポーチとしてもマルチに使える優れもの。
他のサイズも揃えよ〜😆
moimoi
エシカル協会 堀田三佳さん
エシカル協会 堀田三佳さん

「妹さんからの素敵なプレゼントですね!私も愛用していますが、小さいサイズは旅行時の歯ブラシ入れとしても活躍しています。また、そのまま調理ができるので、洗い物も減って、繰り返し使えてプラスチックゴミも出さないので、エシカルな暮らしにぴったりなアイテムです。」

いろいろな使い方ができるヘチマスポンジ

有機栽培のヘチマ☺︎
皿洗い、キッチン周りの掃除、ボディースポンジ、石鹸の下に敷いたり♪
いろんな場面で大活躍☺︎
hiilino
エシカル協会 堀田三佳さん
エシカル協会 堀田三佳さん

「ヘチマスポンジは、使用中のマイクロプラスチックを出さず、下水や海を汚しません。また使い終わったものは、コンポストに入れることで土に還り循環するので、地球に優しいエシカルなアイテムです。色々な場面で活用されていて本当に素晴らしいですね!」

親子で楽しむ梅仕事

今年の梅仕事は息子も参加♩
美味しいシロップが出来ますように♡
run_cafe
エシカル協会 堀田三佳さん
エシカル協会 堀田三佳さん

「エシカルな暮らしの一歩として、『買う』から『つくる』へのチャレンジはとてもおすすめです。作る楽しさ、出来上がった時の嬉しさ、食べた時の美味しさと、何度も訪れる感動は、簡単にものが手に入る時代において、とても豊かな気持ちを体験できます。お子さんと一緒に楽しめるシロップ、出来上がりが楽しみですね!」

子供服をリメイクした手作りマスク

着られなくなったロンパースとこども服をリメイクしてマスクを作りました。
マスクゴムは、ヘアゴムで代用。
marizou
エシカル協会 堀田三佳さん
エシカル協会 堀田三佳さん

「お子さんの思い出の洋服を日常使いのマスクにリメイク、本当に素晴らしいエシカルアイデアですね。マスクを使うたびに小さな頃のお子さんを思い出すような、笑顔がつながる素敵リメイクです。」

いかがでしたか?最初の一歩がなかなか踏み出せなかった人も、「エいきょうを シっかりと カんがえル」という言葉を思い出せば、エシカルな選択ができそうです♪RoomClipでは、これからも「SDGs」や「エシカル」についての情報をご紹介していきます。ぜひ楽しみにしていてくださいね。

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