…まあそういう事をする同僚もいるがね、と聞き取れるかどうかのギリギリの声で言った。ほんとかよ、危険な奴らだ。「それにしても何の用だい?僕はちょっと急いでるんだけどな。用が無いなら…」「それはご挨拶だね、たまには僕も役に立てるかなと思ってさ」「役に立つだって?しばらく来なかったくせに何言ってんだよ」と僕はイライラして言った。どうも彼のペースだ。「担当は君だけじゃないからね、悪いとは思ってるよ」「悪いと思ってるなら、もういいかな?今は本当に急いでるからさ、渋滞に巻き込まれてるし」うーん、と少し考え込んでから「なるほど渋滞ね」と彼は言った。「それなら国道を通らずに、旧有料道路に入って東に進めば随分早く着くよ。なんならコンビニに寄ってコーヒーだって飲めちゃうしさ。必要ならトイレにも行ける」「ふーん」「おや、信用してないね」「まあね」と僕は言った。「どちらにしてもそれが一番の近道さ、じゃあまた」と言って彼は消えて行った。信用してないが、このままでは遅刻だし行ってみるかと思い、交差点を左折し、言われた方向へ車を走らせた。すると、「まさか…嘘だよな…」前方にはズラっと並ぶ車、そして『事故発生につき片側通行、徐行せよ』と書かれた立て看板が目に入ってきた…。
…まあそういう事をする同僚もいるがね、と聞き取れるかどうかのギリギリの声で言った。ほんとかよ、危険な奴らだ。「それにしても何の用だい?僕はちょっと急いでるんだけどな。用が無いなら…」「それはご挨拶だね、たまには僕も役に立てるかなと思ってさ」「役に立つだって?しばらく来なかったくせに何言ってんだよ」と僕はイライラして言った。どうも彼のペースだ。「担当は君だけじゃないからね、悪いとは思ってるよ」「悪いと思ってるなら、もういいかな?今は本当に急いでるからさ、渋滞に巻き込まれてるし」うーん、と少し考え込んでから「なるほど渋滞ね」と彼は言った。「それなら国道を通らずに、旧有料道路に入って東に進めば随分早く着くよ。なんならコンビニに寄ってコーヒーだって飲めちゃうしさ。必要ならトイレにも行ける」「ふーん」「おや、信用してないね」「まあね」と僕は言った。「どちらにしてもそれが一番の近道さ、じゃあまた」と言って彼は消えて行った。信用してないが、このままでは遅刻だし行ってみるかと思い、交差点を左折し、言われた方向へ車を走らせた。すると、「まさか…嘘だよな…」前方にはズラっと並ぶ車、そして『事故発生につき片側通行、徐行せよ』と書かれた立て看板が目に入ってきた…。