自然の心地よさを五感でたっぷり味わえる、木を使った住まい。近年は、日本の豊かな森林資源を守るという点でも、国産木材への注目が高まっています。でも、国産木材を家づくりに取り入れることで、どんな良い面があるのでしょうか?そこで実際に、木のある暮らしを楽しむユーザーさんを訪ね、その魅力をうかがいました。
柱も壁も天井も。木のぬくもりが主役のマイホーム
南フランスの片田舎を思わせる、素朴で温かみのある雰囲気が好きだというanko44さん。好みをそのままかたちにしたようなこの家で、夫と高校生のふたりの子どもたちと暮らしています。
anko44さんが家を建てると決めたとき、真っ先に思い描いたのは「木をたっぷり使いたい」ということでした。
「いいなと思う家や施設の設計士さんを調べ、木を取り入れた建築が得意な方にお願いすることになりました。北海道にある実家も木をたくさん使ったおうちだったんです。地元のカラ松だったそうで、知らず知らずのうちに木の良さに囲まれて暮らしていたんですね。
大人になりアパート暮らしも経験しましたが、見た目は同じようでも、本物の木は手触りも香りも違うと気づきました。だから、いつか家を建てるなら『木のぬくもりがある家にしたい』と決めていたんです」
あちこちに木をぜいたくに使ったanko44さんのおうち。自然素材を使った壁紙をはじめ、クラフト感のある素材やグリーンなどを取り入れ、より心地の良いスペースをつくっています。
「木のことをよく知り、信頼できる設計士さんにお願いできたおかげで、柱や天井、建具にいたるまで、その方がおすすめする木材で仕上げてもらうことができました。木は、それぞれに色合いや節の様子などの個性があり、それも自然素材のよさだなと思います」
国産杉材で造作してもらったドアには、アンティークガラスが揺らめいています。
「ドアや収納の扉などの建具も、すべて木材で作ってもらいました。自分で探したガラスを入れてもらったら、ますますお気に入りの雰囲気に。ドアには、海で拾った貝殻や珊瑚をつないだモビールを飾っています。木の家に、DIYやハンドメイドで自分らしさを足していくのも楽しいです」
理屈よりも、「心地いい」を肌で感じられる家がいい
築約13年。新築当時と比べ、心地よさは今も変わらないとanko44さんはいいます。むしろ、愛着が増し、ますますこの家を好きになっている、とも教えてくれました。
「遊びに来た友人からは、10年以上経つ今でも『木の香りがするね』って言われるんです。確かに家に入った瞬間、空気が違うように感じます。木の調湿作用だとか、見た目の雰囲気だとか、いろいろ理由はあるのだと思いますが、感覚的に『あ、気持ちいい』って思えるのが、暮らしていてなによりうれしいですね」
そんなanko44さんのおうちをしっかりと支えているのが、幅30センチはあるという立派な大黒柱です。2本の柱の間には5枚の障子と特注の格子ガラスをあしらい、住まいの顔となるようなお気に入りのコーナーになりました。
「宮崎県産のヒノキです。設計士さんから、この大黒柱なら、もし地震が来ても大丈夫だと太鼓判を押されました。実際に2016年の熊本地震でもびくともせず、家と家族を守ってくれました。周囲に比べて被害もほとんどなかったのは、この大黒柱のおかげだと思います」
家族と一緒に家も育っていく、この変化がうれしいです
この家に暮らしはじめて、小さかった子どもたちはすっかり大きくなり、anko44さん自身のインテリアの好みも少しずつ変わりつつあります。同じように家も成長し、新築のころとは変化を感じるようにもなりました。
「入居したばかりのころは、もっと白っぽい印象だったのが、だんだんと色濃く、艶を増してきましたね。以前は色を使ったインテリアが好きで、壁を何度も塗り替えたりもしましたが、いまは自分で珪藻土や漆喰を塗って落ち着いた雰囲気に。木の家には、そうしたどんな変化も受け入れてくれる良さがあると思います。木が呼吸しながら、家族の暮らしにあわせて成長しているのを感じています」
忙しい子育てや、仕事の大変な時期、家族のメインイベント。たくさんの時間を木の家と一緒に過ごしてきたからこそ、anko44さんは、その良さをたくさんの人に伝えたいと話します。
「柱には、子どもたちの身長の記録も残っていますし、家じゅうあちこちにキズやシミもいっぱいなんです。これはお醤油をこぼしたときかな、何かを落としてへこんじゃったものかな、子どもがつけたキズもあるなあ、って。でも、そういう一つひとつが、ちっとも嫌な感じがせず、むしろ家族みんなで暮らした歴史や味わいに思えます。家づくりに、おおらかな木を取り入れる良さですよね」
少しずつ、好みや子どもたちの成長に合わせて、家をカスタマイズ。廊下の腰壁も、あとからDIYで取りつけたそうです。
「子どもたちが通るたびに、壁を撫でていたんでしょうね。だんだん汚れが目立ってきて……(笑)。もともと、寝室や子ども部屋に国産杉の腰壁をあしらっていたので、それに合わせて自分で貼ってみました」
「子どもたちも、いずれこの家を離れます。自分がそうだったように、実家を出て初めて、木の良さを思い出すときがくるかもしれません。夫婦ふたりになっても、その時々の暮らしに合わせてDIYやリフォームをしながら楽しく暮らしたいですね。キッチンに木の作業台があったらすてきだなあと、いろいろ想像しているところなんです」
【動画】国産木材の住まいの暮らし
今回の記事で取材にご協力いただいたanko44さんのご自宅を、動画でご紹介しています。国産木材をふんだんに使った、素敵な空間です。ぜひご覧ください♪
動画が再生出来ない方はこちら
ほかのRoomClipユーザーさんの“木のある暮らし”も見せてもらいました!
2023年11月にRoomClipで開催された投稿イベント「国産木材のある暮らし2023」。木とともに暮らす、ユーザーさんの素敵なおうちをご紹介します♪
まるでログハウス!木のぬくもりに抱かれる寝室スペース
どっしりとした無垢材の勾配天井が、海外のログハウスのようなsearch1132さんの寝室。壁のアートフレームやデザイナーズ照明ともグッドバランスで、森の中のペンションに訪れたような気持ちで眠れそうです。
2階の寝室スペースも、木材に囲まれた空間です。
木材の天井、木製障子、無垢材の床…
まるで森の中に居るような気持ちの良い空間で眠りにつける幸せ。
朝日が差し込む時間帯のこの空間が好きです。
水回りにぴったりのヒノキをぜいたくに使い、ホテルライクに!
天井や壁をすべてヒノキで仕上げたのは、Yasunaさんのサニタリー空間。ヒノキは抗菌や消臭の効果が期待できるといわれ、水回りにもぴったりです。寒い冬も、温泉気分を味わえそうなぬくもり感ですね♪
周りが木で囲まれてるので、あったかい感じがします✨
20年後もしっかり丈夫な、国産ヒバ材のウッドデッキ
mizuyoさんのウッドデッキは、なんと約20年経っているそう。まな板の素材としても知られるヒバは、白アリにも強いのですね。広いウッドデッキはお手入れや修繕のことも考え、納得のいく材料を揃えるのが良いようです。
大川から取り寄せてもらいました。
ヒバは、白アリの心配がないので安心です。20年位経ちますが、こんな感じ…🤗
国産木材とともに歳を重ねる、あたたかい家づくり
国産木材と重ねていく暮らし。時間が育む味わいが、おうち時間をさらに豊かに、愛着のあるものにしてくれそうですね。
(一社)全国木材組合連合会が運営するサイト「Love Kinohei」では、持続可能な環境づくりにも取り組みながら、国産木材のぬくもりや良さをお伝えしています。家づくりに国産木材を使うメリットやエクステリアでの活用事例もご紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね♪