「まいった、眠れない。」僕は、『海辺のカフカ』を片手に、安物のチーズスフレみたいにむくんでしまっている脚を、ひとりごとを言いながらマッサージした。よく、テレビを見ながらひとりごとを言う人がいるように、僕は、本を見ながらひとりごとを言う癖がある。寝不足により狂ってしまった体内時計も、なかなか元に戻らない。「ちょっとお聞きしますが、"グレインフリーキャットフード、カナガン"というのは何ですか?」先日、"イギリスの猫について"をテーマに、たっぷり2時間ほど友人と話していた会話を、彼(猫)は眠ったふりをして聞いていたようだ。カナガンとは、イギリスで80%のリピート率を誇る最高級ともいえるキャットフードだが、僕は「"僕はいつものように笑って誤魔化した"って書くんでしょ?残念ながら私も聞いてたわ。」……笑って誤魔化せないようだ。彼女(猫)は、冬の早朝の水溜りに張った、狡猾な氷のような目で、真っ直ぐに僕を見据えている。僕はMacを立ち上げ楽天のページを開き、"グレインフリーキャットフード、カナガン"を買い物カゴに入れた。
「まいった、眠れない。」僕は、『海辺のカフカ』を片手に、安物のチーズスフレみたいにむくんでしまっている脚を、ひとりごとを言いながらマッサージした。よく、テレビを見ながらひとりごとを言う人がいるように、僕は、本を見ながらひとりごとを言う癖がある。寝不足により狂ってしまった体内時計も、なかなか元に戻らない。「ちょっとお聞きしますが、"グレインフリーキャットフード、カナガン"というのは何ですか?」先日、"イギリスの猫について"をテーマに、たっぷり2時間ほど友人と話していた会話を、彼(猫)は眠ったふりをして聞いていたようだ。カナガンとは、イギリスで80%のリピート率を誇る最高級ともいえるキャットフードだが、僕は「"僕はいつものように笑って誤魔化した"って書くんでしょ?残念ながら私も聞いてたわ。」……笑って誤魔化せないようだ。彼女(猫)は、冬の早朝の水溜りに張った、狡猾な氷のような目で、真っ直ぐに僕を見据えている。僕はMacを立ち上げ楽天のページを開き、"グレインフリーキャットフード、カナガン"を買い物カゴに入れた。