


RoomClipユーザーの素敵なキッチンを紹介する「憧れのキッチン」連載。
今回は、さらりと洗練されたモダンナチュラルなインテリアづくりをされているayakoさん宅の、ミニマルなキッチンをご紹介します。ともに料理には思い入れの強いご夫婦がつくる、収納力と見せ方のバランスにこだわった、キッチンづくりのコツをチェックしていきましょう。

ふたりで暮らすのに丁度良い、庭付きのマンションを昨年リノベーションしました。夫は和食料理人、私は元デザイナーという夫婦暮らしです。意見を出し合っての家づくりは、楽しい時間でした。 休日には夫とふたり、キッチンに立ち、庭で食事をするのが楽しみ。私たちに合った、ミニマルな暮らしのカタチができたと思っています。
お気に入りからはじまった、落ち着く優しい空間
ayakoさん宅のキッチンは、ふわりと優しい静けさを感じさせてくれる、オフホワイトをベースにしたミニマルな空間です。器や家電、洗剤、そしてグリーンの活けられたダイニングまでの眺めを見ているだけで、ご夫婦の丁寧で真摯な暮らしぶりが目に浮かぶよう。まずは、キッチンづくりに込められたこだわりや、工夫からお伺いしていきます。

「丁寧に暮らしたくなるように、お気に入りの無垢材でつくられたダイニングチェアから、イメージを広げました。 『温かく美しくクリアな印象』を求め、ホワイトオークと馴染むよう、柔らかいカラーで統一しています。差し色に黒と植物のグリーンを選ぶことで、落ち着く優しい空間にすることができたと思います。」
リラックスした眺めを最も見通せる場所

空間づくりは、何かひとつ芯になるものがあると、全体が心地よくまとまっていきます。ayakoさんご夫婦にとってのそれは、お気に入りのダイニングチェアだったんですね。だからこそ、ダイニングからキッチンを眺めた時のバランスは、心地よく秀逸です。でも、それだけではありません。間取り図を拝見すると、キッチンからはダイニング、リビング、そしてバルコニーから庭までを、スッと見渡せることが分かります。伸びやかで開放的な眺めを存分に楽しみながら、大好きな料理をご夫婦で……それは最高に幸福な時間の過ごし方ではないでしょうか。
そんなayakoさんのキッチンはとてもミニマルに見えますが、実は食器や調理器具がたくさんあるのだそう。ここからは、気になる見せ方と収納の工夫をじっくりと紐解いていきます。同じように、ものは多いけれどスッキリ見せたいという方はもちろん、キッチンの収納が少なくついものを出しっぱなしにしてしまうという方も、解決の糸口となるヒントがあると思いますので、ぜひお見逃しなく。
キーワード1 機能性を重視しながら、厳選したいいものを並べる



「調理台は、絶対に白と決めていました。魚をさばく時をはじめ、素材や料理の色を確認する時もわかりやすく、汚れも一目瞭然なので、常に衛生的に保つことができます。でも、バックセットは、スタイリッシュにグレーをセレクトしました。そして木の棚板には、鉄、ガラス、陶器、漆と、さまざまな表情を楽しみながら毎朝使う食器を並べています。飾り過ぎず、良いものを少しだけ、というのがベースにおいたこだわりです。」
キーワード2 ミニマルさを大切にしつつ確保した、膨大な食器の収納



「料理人の夫、料理好きの私という夫婦のためか、食器の数や調理道具が膨大です。
それでも、狭いキッチンの中に、床から天井までの収納はつくりたくはありませんでした。そのため、バックセットの上部は、棚板のみにしています。さらに、棚板のレールや金具も目につかないよう、埋め込みにして、よりミニマルな見た目を追求しました。
このバックセットに収まりきらないものの収納は、キッチン横につくった、1.5畳程のパントリーが役立ちます。鍋やお菓子作りの道具、もてなし用の大皿やワイングラスなどを収納。また、ダイニングにあるサイドボードにも、中頻度の食器を入れています。一見、どこに収納されているのかわからないようにするのも、インテリアのこだわりのひとつです。」
キーワード3 庭やグリーンで演出する、キッチンからの眺め




「リビングダイニングには、必ずグリーンを置くようにすることで、キッチンからの眺めを演出しています。私は、可愛らしいお花より、葉物・枝物の方が好みです。キッチンから眺めることのできる庭も、DIYで心地よい景色をつくり出しています。決して広くはない家ですから、キッチンから庭までをひとつながりの空間として、ゆったりとらえられるようにコーディネートしています。」
キッチンをもっと素敵にするためのアドバイスがあれば教えてください



「まず、使いやすい収納と掃除がしやすい環境が第一だと思います。飾れば飾るだけホコリをかぶります。その分、掃除をする場所も増えてしまいます。片付けることや掃除の手間を考えて、空間をデザインするといいかなと思います。大切に扱いたくなる家具や食器を少しずつ集めて、ものと一緒に成長できる家を目指すのも素敵だと思います。」
まとめ: 必要を満たす柔軟な思考

洗練されたキッチンの背景には、バックセットで圧迫感を出さない工夫と、その分不足してしまう収納力をカバーするパントリーとダイニングのサイドボード、という絶妙なレイアウトが隠れていました。大型の食器や中頻度の食器を、キッチン以外の場所に置くことで、日々の快適に配慮しながら、無理なく必要を満たしているのが素敵です。
また、収納面以外の機能美やスッキリとした見た目を追求するこだわりからは、ご夫婦にとってのキッチンの重要度がうかがえます。こうして丁寧に使いやすくつくり込まれたミニマルな空間は、グリーンと厳選した『いいもの』で、静かに優しく仕上げられていきます。そぎ落とすのではなく、こだわりを大切にしながらものを見せないようにすることでも、キッチンを研ぎ澄ませることはできるんですね。今回お話しいただいたアイデアやアドバイスを参考に、眺めの良い機能的な空間を目指してみませんか。
ayakoさんはご紹介した他にもRoomClipに素敵なインテリアを投稿していらっしゃいます。ぜひご覧下さい!