デザインプロダクトで日本を元気に!〜アッシュコンセプト代表取締役・名児耶秀美さん〜

デザインプロダクトで日本を元気に!〜アッシュコンセプト代表取締役・名児耶秀美さん〜

今回はRoomClip公式アカウントでもおなじみのKONCENTを運営するアッシュコンセプトの代表取締役・名児耶秀美さんに蔵前のKONCENTのショップでお話を伺いました。

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KONCENTの誕生までの道のり

KONCENT 蔵前ショップ
▲蔵前のショップ

- 名児耶さんが手掛ける“+d”がデザイナーとのコラボという切り口でブランドを始めたきっかけはなんだったんでしょうか。

日本のデザイナーは世界でもトップクラスに優れた技術を持っていますが、自己主張が控えめでもあります。 奥ゆかしさは日本人の素晴らしい個性でもあるのですが、良いデザインをユーザーへ届けようとした際には、 クライアントを飛び越えて、デザイナーが決定権を持って前に出なければならないこともあります。 日本では、大手企業のデザインが大きな評価を得ても、デザイナーの名前なんて全く出てこないことも多い。

僕は「それじゃあプライドを持って仕事はできない」と思っていました。“デザイナーとコラボして商品を作る”という形態は 「デザイナーを応援したい」という気持ちから始まりました。彼らが元気にならないと世の中も元気になりません。 世の中にある全てのクリエーションを作るのはデザイナーだからです。コラボというより“クリエーションの種まき”ですね。 「このデザインを作ったのはこの人で、こんな考えで、こんなメッセージがある」ということを、 しっかりと伝えるために誕生したのがブランド“+d”です。

Sheep Cable Holder
▲今年の干支!Sheep Cable Holder
Lumibaby
▲プニュっとお腹を押すと頭がほんわか光るLumibaby

- 今のお話からは、名児耶さんのデザインに対しての特別な思い入れを感じますね。

以前、僕は大手デパートの宣伝部でデザイナーとして働いていました。 ですが、ある日、いきなり実家の家業を手伝うことになったんです。 実家は100年以上の歴史があるブラシ製造会社でした。当時から、良いものづくりをしているのに、売り上げはものすごい悪かった。 僕はデザイナーとしてのノウハウを生かして「デザインで会社を変えたい」と考えて、会社のブランディングに取りかかりました。

社内にはデザイナーなんてひとりもいませんでしたけど、いろいろと試行錯誤を繰り返しながら、どうにか会社を立て直すことに成功したんです。 その時に「デザインを上手く活用すれば、企業はこんなにも変わるんだ」という実感を持てましたね。

デザインは、そのデザインを使う人たちへの“思いやり”が非常に重要なんです。それは日本人の気質にとても合っていますよね。 会社が立ち直った後に独立して、2002年に+dを立ち上げました。

- 蔵前という場所にショップをオープンした理由などはあるんでしょうか。

下町は僕の地元なんです。オシャレでカッコ良い都会の街は、自分の性に合いませんでしたね(笑)。

あと、下町には工場がたくさんあるので、僕の仕事上はとても動きやすい環境だったんです。家賃も安いですしね(笑)。

独立後、事務所を蔵前に設けて、プロダクトを制作していました。ある日、ひょんなことから、SPEAK EAST!という下町のクリエーターが集まるイベントに参加することになったんです。イベントに参加してみたら、このエリアには面白いものづくりをしている方やショップ経営をしている方たちがたくさんいることを知りました。ちょうどプロダクトのラインナップも増えてきた頃でしたし、「この動きに僕も参加するしかない!」と思って、ショップを作ることを決意したんです。

多くの方に協力してもらい、デザインプロダクトショップKONCENTを立ち上げました。

店内写真
▲キャットウォークが楽しい店内。空間デザインは名児耶さんご自身が担当。
店内ディスプレイ
▲お邪魔した1月はギフトがテーマになった店頭ディスプレイ。

- KONCENTというネーミングの由来を教えてください。

KONCENTは仲間と一緒にやった合同展示会の名前なんです。

+dを通して作ったプロダクトたちを発表するために、仲間と集まって展示会の名前がKONCENTでした。 「コンセントにみんなのプラグを差し込んでエネルギーを供給し合おう」という意味合いです。KONCENTって実は和製英語なんですよね。 僕たちの作る商品は日本発信だったから、和製英語はバッチリハマると考えて、この名前にしたんです。

広がるKONCENTでの繋がり デザインが与えてくれるものとは

KONCENTはメルボルンにも出店されたそうですね。

ずっと海外でも展開したいと思っていました。ご縁があってメルボルンにお店を作ることになったんです。

2014年の夏にお話をいただいたのですが、10月にはお店がオープンしていましたね。 当初は物件が見つからなくて、先方が一度は逃げ腰になったんですが、僕がごり押しをして年内にオープンする運びとなりました(笑)。

おかげさまで大変賑わっているようですよ。

メルボルンの店舗
▲メルボルンの店舗。

KONCENTの商品をはじめ、デザインのエッセンスが暮らしに与えてくれるものとはなんですか?

デザインを言葉で表現する場合、名詞で表せば「かたち」、動詞で表せば「つくる」。

ここまではアートと同じです。デザインがアート違うところは形容詞の部分。 アートの形容詞は「自分のため」、デザインの形容詞は「相手のため」。 冒頭にも言いましたが、デザインは“思いやり”がある。そのデザインを使う人たちに向けてデザイナーたちの“愛”が詰め込まれているんですよ。 作り手側の話をさせてもらえば、いま、デザインとアートの境目がなくなってきている。 つまり「相手のためでもあり、自分のためでもある」、これがいま一番面白いデザインの感覚だと思います。

そんなことを色々なデザインから感じ取ってくれたら嬉しいですね。

KONCENTで何かおすすめの商品はありますか?

ひとつに絞るのはなかなか難しいですね。商品は商品ですけど、僕はたくさんの友人たちが並んでいるような感覚なんですよ。 なので、全ての商品にそれぞれ特別な思い入れがありますね。

面白いのはユーザーさんがそれぞれ思い思いに商品と触れ合ってくれることですよ。 例えば、こちらが想像もしなかった使い方をユーザーさん自身で見つけてくれたりすることもあります。 そんなわけで、あえて商品の使い方を全部説明しないことも多いです(笑)。

いま、僕が一番嬉しく思っていることは、僕たちはデザイナーとの“Win-Win”の関係が作れていることなんです。 最初はデザイナーを応援するための企画したコラボレーションが、デザイナーの名前をしっかり出すことによって、 デザイナー自身にも良いプレッシャーに繋がってくれたようです。 彼らは真剣になってくれて、130%の実力を出してくれます。 本当に良いものづくりができています。おかげさまで多くのデザイナーが話を持ってきてくれるので、 「もうアイデアが尽きた!」と思った時でも、まるで温泉を掘り当てたみたいに、彼らが良いアイデアを持ってきてくれる。 ちゃんと相手のことを考えれば、相手はそれ以上のことを返してくれますね。 それがデザイナーの本質ですね。自分だけじゃなくて、相手のことを考えて行動することが本当に大事。

Caomaru
▲思わずぐにゅ!っとつぶしたくなっちゃう人気のCaomaru
ANIMAL STOOL
▲しっぽがかわいい。ANIMAL STOOL

KONCENT、今後の展望について

名児耶さんの“ものづくり”に対しての考え方をお聞かせいただけませんか?

いま、世の中の商品に重視されるのはやっぱり価格の安さだと思うんです。 経済的な事情や、コスト的の事情で仕方がないですね。 日本でものを作る限り、海外での生産コストには勝てません。
だから、極端な話、もう“メイドインジャパン”に関してはそういうものを度外視して、 それこそ“世の中に必要じゃないもの”を作れば良いと思っています。
必要じゃないんだけけど、「ちきしょー、なんかよくわからないけど、これはそばに置いておきたいぞ!」と思わせるようなプロダクトを作りたい。 僕は、まるで恋人のようなプロダクトを作りたいんです。 その人の愛情を感じられるようなプロダクト。ものづくりには感動が大事です。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、 第六感がワサワサと揺さぶられるようなプロダクトをこれからも作っていきたいですね。

今後の目標を教えてください。

会社として大事にしていることは「デザイナーを応援すること」。

良いクリエーションをする人材が多く生まれるように種をまきます。 だけど、種をまいても、畑がなければデザイナーは育ちませんね。だから、畑を作ることも重要です。 「素晴らしいデザイナーや素晴らしいデザインを上手く活用できるような企業や産地を応援すること」が大事。

あと、他人のことをどうこう言う前に、自分の足元をしっかりしておかなければならない。 だから「地元を応援すること」が大事。この三本柱でこれからも頑張っていければ良いなと考えています。

湘南T-SITE店
▲2014年12月にオープンしたばかりの湘南T-SITE店。

名児耶さんご自身の今後の目標はありますか。

僕は自分の足元である地元を元気にしたい。東京を元気にしたい。日本を元気にしたい。 最終的には地球を元気にしたい。 それができるのは“デザインの考え方”だと思っています。

何度もお話しましたが、「自分が、自分が」という考え方ではなくて、思いやりを持った考え方。 つまり日本人が得意とする考え方。それをどんどん世界に向けて発信していくべきだと僕は思っています。 だから、目標は“愛と思いやり”で世界制覇ですね(笑)。この世の中に生まれたということは、何かをやるために生まれてきたわけだと思います。 僕が死んだ時に「あいつ、けっこう良いことやったよな」って言われていたら嬉しいですね(笑)。

名児耶さん
▲名児耶さん、ありがとうございました!

名児耶秀美 Hideyoshi Nagoyaアッシュコンセプト(h concept)代表取締役、デザインプロデューサー。
1981年
武蔵野美術大学造形学部卒、ペアシュメルシュア(デザイナー)のもとでデザインアシスタントを経て、 ㈱髙島屋宣伝部、㈱マーナ専務取締役企画室長として、経営・商品開発・プロデュース・マーケティング・デザイン戦略に携わる。
2002年
h-concept(アッシュコンセプト)設立。生活者とデザイナーが楽しめるモノづくりをめざし、 デザイナーとのコラボレートブランド「+d」を世界に向けて発信。 その他、デザインコンサルティング・ジャパンブランド・地場産業振興コンサルティング等をてがける。

KONCENT
東京都台東区蔵前2-4-5 1F
[TEL] 03-3862-6018
[営業時間] 11:00〜19:00
[定休日] 不定休(詳しくは店舗にお問い合わせください)
[URL]http://realshop.koncent.net/

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