中古住宅を購入し、住まい手のライフスタイルにあった形にガラリと変える「リノベーション」。この連載では「施主目線」に立ち、リノベーションでなければならなかった理由やパートナーを選んだ基準、そしてこだわりポイントを掘り下げます。
今回ご紹介するのは、北海道札幌市にお住いのnaoさんのお宅です。1LDKのマンションから引っ越し、新しくマンションを購入・リノベーションされたお宅で実現したのは、自らコーディネートし、心から安らげる「自分達の居場所」。理想のインテリアと機能性両方を叶えられたnaoさんのリノベーション術、そこに至る経緯と現在の暮らしについて詳しくお聞きしました。早速見ていきましょう。
今回教えてくれたユーザーさん♪
そもそも家探しをしようと思ったきっかけは何ですか?
「以前は1LDKの賃貸マンションに住んでいましたが、夫婦2人で住むには少し手狭に感じていました。また収納スペースが少なかったので、しまいきれないモノが部屋に溢れてしまうことも不満でした。 『いつかは賃貸ではなく自分達のお家を持ちたいね』と夫婦で話していたので、何となく物件情報を見始めたのがきっかけです。」
どうして、リノベーションじゃなければダメだったんですか?
「どうしても自分好みの居心地の良いおうちに住みたかったんです。インテリアの仕事をしているので、いつかは『自分でコーディネートしたおうちに住みたいな…』と漠然と思っていました。
主人にも『インテリアは任せるよ』と言ってもらえたので、以前から大好きだった海外インテリアのイメージで、甘くなり過ぎないよう濃紺をアクセントに入れてコーディネートしました。
また、以前の家では収納が少なく不便だったので、どこに何をしまうか収納計画も同時に行いました。間取りや動線も自分で考えたので、私達にとってはとても使い勝手の良いおうちになりました。リノベーションでインテリアと機能性の両方を叶えることができて満足しています。
以前はカフェ巡りが夫婦の趣味でしたが、今ではおうちの方が居心地が良く、カフェに行く回数も減りました。」
リノベーションの情報や依頼先は、どうやって探しましたか?
「知人が勤めていた会社というのが一番の決め手です。自分でインテリアコーディネートをさせてもらえたり、図面を考えたり、わがままをたくさん聞いてもらいました。」
実際にできあがった家を見たときは、どう思いましたか?
「できあがって初めて家を見に行った時には、主人が唯一要望を出したブリックタイルを、主人が『いいねー』ととても喜んでいたのが、私も嬉しかったです。 引っ越してからは友達を家に呼ぶことも増え、皆からも「居心地がいいね』と言ってもらえます。 リビングのブリックタイルや室内窓の他、特に評判がいいのは洗面化粧台です。 造作の洗面台は甘くなり過ぎないように、グレーのタイルや黒のヴィンテージウッドのミラーを選びました。オリジナルな雰囲気を出せたかな…と自分でも気に入っています。 これからも少しずつ手を加えて、より自分達らしいおうちにしていけたら、と思います。」
特に気に入っている場所はどこですか? 5つ教えてください
①自然素材を使った床や壁
「床は無垢材が希望でしたが、マンションの場合、遮音マットとの組み合わせとなり、我が家では予算的に厳しかったのですが、マンション用の天然木を張った複合フローリングがあることを知り、そちらを採用しました。見た目は無垢材と変わらずとても気に入っています。 塗り壁も、塗り方を何度も打ち合わせして、気に入った仕上がりになりました。」
②リビングに隣接した半オープンの書斎
「主人がほとんどの時間を過ごす、書斎と言う名のゲーム部屋です……。ゲーム好きな主人なので、独立した部屋にするとこもりきりになるのが目に浮かび、かと言ってリビングの一角だと、ゲーム機やパソコンが雑然と見えるのも気になりました。そこで、お互いの気配は感じつつ、見せたくないものは隠れるガラス窓付の半オープンの書斎に落ち着きました。狙い通りの空間になり大正解でした。」
③自分好みに造作した洗面化粧台
「リノベーションをするなら絶対に造作の洗面化粧台にする、と決めていました。 タイルを使っても甘い雰囲気にならないように、たくさんのサンプルの中から濃いめのグレーのタイルを選びました。また、ミラーはヴィンテージウッドを使った物で、サイズも雰囲気もピッタリでした。もともと洗面室は暖房のないホールに面していましたが、北海道の冬の寒さを考え、リビング側に洗面室の入口が来るように間取りを変更しました。そのお陰で、冬でも快適に使うことができています。」
④寝室と書斎、リビングの間につくったウォークスルークローゼット
「空間を無駄なく使えるよう、収納と通路の二つの要素を兼ねた、ウォークスルークローゼットを寝室と書斎の間に設けました。寝室はホールからの入口もあるのですが、ほぼ9割はウォークスルークローゼットから出入りしており、我が家のメインストリートとなっています。」
⑤リビングの壁の一部をブリックタイルに
「インテリアはほぼ私が選びましたが、主人の唯一の要望が『壁のどこかにタイルを使いたい』というものでした。唯一の要望なので、一番目立つリビングのテレビ裏の壁面に使用しました。そのままでは味気ないので、タイルの角をハンマーで叩いて欠けさせたり、塗り壁を上から重ねたりして変化をつけました。ブリックタイルにライトが当たるととてもキレイで気に入っています。」
リノベーションを振り返ってみて、いかがでしたか?
「リノベーションした我が家に帰ってくると、自分達の居場所だなぁと日々実感しています。年を重ねるごとに愛着も深まり、リノベーションを選択して本当に良かったと自信を持って言えます。
また新築よりも抑えた予算で無理なく自分好みのおうちにできたこともリノベーションの良さだと感じています。
大変だったことは、マンション購入からリノベーションまでの短い期間で、あれこれ決めなければいけなかったことですが、今思えばそれも楽しい時間でした。本当は天井の配管などをむき出しにして、ラフなイメージと、なるべく天井高を高くしたかったのですが、断熱材や配管の位置関係で思ったようなイメージにならないことがわかり、断念しました。もし、もう一度リノベーションする機会があれば、それを叶えたいです。
またマンションは制約も多いので、マンションによる制約の違いを事前に調べておくと良かったな、と思います。(建築する会社で調べてくれました)」
お話をお伺いして
自分でコーディネートした家に住んでみたかったというnaoさんは、“自分好みの居心地の良さ”を目指してリノベーションを決意されました。リノベーションで叶えられたのは、自分達好みの海外風インテリアと、自分達にとって使い勝手の良い収納と間取りや動線です。夫婦の暮らしを反映させたそのお宅は、互いを尊重しあい、寄り添うよう位置付けられた、まさに「自分達の居場所」。グレーのタイルで作った洗面所やブリックタイルなど、素材感を活かしながら作り上げた海外テイストなお部屋は、アンティークの味わいが深く、渋めのコーディネートが魅力的です。
リノベーションの際に気を付けておきたいのが、naoさんのアドバイスでもあったように、戸建て/マンションそれぞれの制約事項。特にマンションの場合は共有部分があるので、間取りや床材などの変更についてはマンションごとに制約が異なります。事前に規約を確認したり、専門家との話し合いを持っていきたいですね。
わがままを聞いてもらったという会社との信頼関係とnaoさんのインテリアセンス、尊重しあう夫婦の関係で理想を実現したマンションリノベーション。皆さんも参考にしてみてください。
naoさんのお住まいについて
- 所在地: 北海道札幌市
- 物件種別: マンション
- 建築面積: 70平米
- 間取り: 2LDK+書斎
- この家に住む人: 夫婦2人
- 施工期間: 2ヶ月
- 総費用: 550万円
- 設計: 豊栄建設株式会社
naoさんはご紹介した他にもRoomClipに素敵なインテリアを投稿していらっしゃいます。ぜひご覧下さい!