『「あ孔雀が居るよ。」
「ええたくさん居たわ。」女の子がこたえました。
ジョバンニはその小さく小さくなって
いまはもう一つの緑いろの貝ぼたんのように見える森の上に
さっさっと青じろく時々光ってその孔雀がはねをひろげたりとじたりする光の反射を見ました。
「そうだ、孔雀の声だってさっき聞えた。」
カムパネルラがかおる子に云いいました。
「ええ、三十疋ぐらいはたしかに居たわ。ハープのように聞えたのはみんな孔雀よ。」
女の子が答えました。
ジョバンニは俄に何とも云えずかなしい気がして思わず
「カムパネルラ、ここからはねおりて遊んで行こうよ。」
とこわい顔をして云おうとしたくらいでした。』
〜銀河鉄道の夜〜
『「あ孔雀が居るよ。」
「ええたくさん居たわ。」女の子がこたえました。
ジョバンニはその小さく小さくなって
いまはもう一つの緑いろの貝ぼたんのように見える森の上に
さっさっと青じろく時々光ってその孔雀がはねをひろげたりとじたりする光の反射を見ました。
「そうだ、孔雀の声だってさっき聞えた。」
カムパネルラがかおる子に云いいました。
「ええ、三十疋ぐらいはたしかに居たわ。ハープのように聞えたのはみんな孔雀よ。」
女の子が答えました。
ジョバンニは俄に何とも云えずかなしい気がして思わず
「カムパネルラ、ここからはねおりて遊んで行こうよ。」
とこわい顔をして云おうとしたくらいでした。』
〜銀河鉄道の夜〜